タイトル |
野外におけるアリモドキゾウムシ雄の移動分散特性 |
担当機関 |
沖縄県農業試験場 |
研究期間 |
1998~2000 |
研究担当者 |
下地幸夫
岸田光史
宮竹貴久
山村光司
守屋成一
小浜継雄
川崎建次郎
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
アリモドキゾウムシの雄は低温期にはあまり分散しない。寄主植物がないと、より遠くに分散する。風に助けられた場合、雄は連続飛翔によって少なくとも2km分散する。沖縄県農業試験場・ミバエ研究室
|
背景・ねらい |
南西諸島におけるアリモドキゾウムシ根絶事業の達成のため、野外における雄の移動分散能力について調べる。移動分散特性を詳細に解明することで、不妊虫の放飼数や放飼方法に根拠を与えられる。
|
成果の内容・特徴 |
- 1992年9月から94年2月にかけて計8回、読谷村のカンショ・サトウキビ混生地帯においてアリモドキゾウムシの移動分散試験を実施した。また、1993年9月に上記混生地帯と沖縄市の裸地で移動分散能力を比較した。さらに、1994年7月に2つの島(与那城村の宮城島、浜比嘉島)に本種雄を放飼し、他の島等への海上での飛翔能力を調べた。試験はすべて標識-放飼-捕獲法によって行い、フェロモントラップで捕獲した。
- 気温が高いと放飼雄の飛翔活性が高まり、トラップによる回収率は高くなった(図1A)。放飼雄は低温期にあまり分散せず、高温期によく分散した(図1B)。野外での放飼雄の生存率は低温期に最も高くなった(図1C)。野生雄の密度は、気温の最も高かった7月に最も高くなった(図1D)。以上より、雄の移動分散は季節により大きく異なり、不妊虫放飼事業を効率的に進めるためには、季節による放飼数や放飼地点の調整について検討を要する。
- 寄主植物がない場所では、ある場所に比べて放飼した雄はよく分散した(表1)。
- 島に放飼した試験の結果、本種雄は少なくとも2km連続飛翔によって分散できることがわかった。また本種の飛翔分散は風によって助けられることがわかった。
|
成果の活用面・留意点 |
- 沖縄県及び鹿児島県における不妊虫放飼によるアリモドキゾウムシ根絶事業に対する基礎資料を提供する。
- 試験に用いた雄成虫はすべて長日下、摂氏25度で3年以上飼育されたもののため、野生虫の移動分散能力と異なる可能性があることに留意が必要である。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
カテゴリ |
かんしょ
さとうきび
フェロモン
|