タイトル |
被覆尿素入り複合肥料利用による小ギクの減肥と施肥窒素の溶脱軽減 |
担当機関 |
沖縄県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
久場峯子
屋良千賀子
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発行年度 |
1998 |
要約 |
被覆尿素入り複合肥料を用いることにより、小ギクに対する施肥量を30%減肥することが可能である。これは同時に施肥による環境負荷を、従来の施肥体系の約半分に抑える効果がある。沖縄県農業試験場・化学部・土壌微生物肥料研究室
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背景・ねらい |
畑地からの窒素肥料の溶脱による環境負荷(地下水中硝酸性窒素濃度上昇)が指摘されている。現在キク栽培で広く普及している“微生物/加水分解型緩効性肥料基肥・液肥2回追肥型”の施肥体系(以下慣行施肥体系と記す)を、被覆尿素入り複合肥料(以下被覆肥料と記す)全量基肥体系に代えることによる施肥量・施肥回数減(追肥無)で、省力化・環境負荷軽減を図る。
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成果の内容・特徴 |
- 被覆肥料を用いた全量基肥体系では、収量・品質の低下を見ることなく約30%の減肥が可能であった(表1)。栽培期間中の特に後期の温暖多雨条件は、秀品率の低下を招いたが特に慣行施肥体系下で顕著であった(表1の2作目)。これは、慣行施肥体系下では窒素の溶脱による生育中期から後期にかけての窒素不足・寡日照・水分過多が軟弱でボリュウムのない草姿形成を招いたが、被覆肥料ではその傾向が軽減されたことを示唆するものである。
- これまでの小ギクの施肥試験で得られた窒素吸収パターンを参考に100日タイプの被覆肥料を用いたが、彼岸出荷用小ギク栽培は冬場の低温期を挟むため、窒素溶出速度が理論値より遅く、8割溶出に150日を要した(図1)。よって70日タイプの方が適当である。
- 被覆肥料を用いた圃場からの硝酸性窒素溶脱/流出量は、慣行施肥体系に対して標準量施用では約3割、30%減肥では約5割減少した(図2,図3:1m深まで埋設したイオン交換樹脂カプセルに交換吸着された硝酸性窒素を定期的に採取し、各期の硝酸性窒素量の合計を栽培期間中の累積溶脱/流出量とした。よって単位はmg/カプセルと表示)。
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成果の活用面・留意点 |
- 対象とする被覆尿素入り複合肥料の特性および施肥量
- 溶出タイプ:リニア型70日(100日タイプでも可)
- 成分比:N-15(内30%は速効性N)、P2O5-11、K2O-10
- 施用量:180kg/10a
- 島尻マージ畑の彼岸出荷用小ギクに適用。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
きく
出荷調整
省力化
施肥
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