タイトル |
強稈、多収の醸造用水稲新品種候補系統「南海145号」 |
担当機関 |
宮崎県総合農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
水稲「南海145号」は、南海113号/山田錦の組合せから育成された醸造用系統で、強稈、多収である。心白の発現、タンパク質含量は「山田錦」に近く、醸造適性が高い。宮崎県総合農業試験場・作物部・育種科
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背景・ねらい |
宮崎県における酒米は、県北の高千穂町を中心とする地域において、「山田錦」が約3ha契約栽培されており、実需者からは高い評価を得ている。「山田錦」は酒米として醸造特性が優れているが、長稈で倒伏しやすい欠点があるため、面積拡大の要請はあるものの作付は伸びていない。このため生産者からは、酒米の産地化が見込める栽培特性の優れた良質酒米品種が強く求められていた。この要望に応えるため、栽培特性及び醸造特性の優れた酒米品種を育成した。
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成果の内容・特徴 |
- 「南海145号」は、平成2年、宮崎県総合農業試験場において、晩生、強稈の「南海113号」を母、良質酒米の「山田錦」を父として人工交配を行った組合せから育成された、水稲の醸造用系統である。
- 「山田錦」と比較し、出穂期と成熟期は3日遅く、暖地では“中生の晩”の熟期である。
- 「山田錦」と比較し、稈長は短く、穂長は同程度、穂数はやや少なく、草型は“穂重型”で、耐倒伏性は酒米品種としては強いほうである。
- いもち病抵抗性遺伝子“Pii”を有し、葉いもちのほ場抵抗性は“やや弱”、穂いもちのほ場抵抗性は“中”、白葉枯病抵抗性は“中”、縞葉枯病に“罹病性”である。
- 「山田錦」と比較し、玄米収量は多く、玄米千粒重は同程度である。心白の発生はやや少ないが、酒米としての玄米外観品質は「山田錦」に近い。タンパク質含量は「山田錦」に近く、醸造適性は良好である。
- 醸造試験の結果では、日本酒度、酸度とも「山田錦」よりやや高く、やや辛口で、味のある清酒が得られる。
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成果の活用面・留意点 |
- 宮崎県高千穂町を中心とする酒米栽培地域において、「山田錦」に加えて新たな面積拡大による普及が見込まれる。
- タンパク質含量を高めないため、多肥栽培を避ける。
- いもち病抵抗性は十分でないので、防除を徹底する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
育種
いもち病
縞葉枯病
酒造好適米
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
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