タイトル |
ヘアリーベッチを利用した生態系活用型水稲栽培技術 |
担当機関 |
環境部 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
前年の秋に播種した緑肥作物ヘアリーベッチは水稲移植前における水田雑草抑制効果が大きい。また、ヘアリーベッチの開花期にローラ鎮圧により生草マルチした水田に水稲を不耕起移植すれば、水稲生育前期の雑草防除効果と肥料節減効果が認められる。長崎県総合農林試験場作物部・作物科、環境部・土壌肥料科
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背景・ねらい |
農薬及び化学肥料の投入をできるだけ少なくする環境負荷軽減技術の開発は環境保全に寄与する今日的課題である。また、米価の漸減が続く中、有機質資材を活用した高付加価値米生産は棚田地帯の生き残り策として注目されている。そこで、緑肥作物ヘアリーベッチを用いた不耕起移植栽培における抑草効果並びに肥料節減効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ヘアリーベッチは水稲移植前における雑草抑制効果が大きい。また、その乾物収量は5月はじめにはピークとなり、6月中旬もなお一定の水準を維持することから、ヘアリーベッチを緑肥として利用する普通期栽培の広範な移植期に適用できる(図1)。
- ヘアリーベッチを生草のままローラで鎮圧マルチした後に不耕起移植すれば、水稲生育前期の雑草抑制効果が認められ、中期1回の茎葉処理除草剤と組み合わせるとその効果は顕著である(図2)。
- ヘアリーベッチはC/Nが小さく分解しやすいため、入水後すぐに分解が始まり、積算気温300度で全窒素量の60%が無機化する。また、全窒素量が乾物重の2.9%に及ぶことから、基肥窒素として十分に利用し得る(図3)。
- ヘアリーベッチ生草マルチのみの栽培では主に穂数減によるに総籾数不足により減収するが、無機肥料または有機肥料の穂肥施用並びにシグモイド型緩効性肥料の移植同時施用と組み合わせた場合は慣行移植と同等の収量が得られ、ヘアリーベッチマルチ栽培における肥料節減効果が認められる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 移植後10~20日間に分解臭を放つため、軽減対策が望まれる。
- ヘアリーベッチは茎葉重が多く茎の繊維が強いので、市販の不耕起移植機では移植精度が著しく劣る。そのため、移植機の改良または開発が必要である。
- ヘアリーベッチは種子0.4kg/aを、前年の11月中旬までに全面散播し、表層を攪拌後均平を兼ねて鎮圧する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
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