ビール大麦における葉の黄化およびすす症状の遺伝様式と農業形質に与える影響

タイトル ビール大麦における葉の黄化およびすす症状の遺伝様式と農業形質に与える影響
担当機関 福岡県農業総合試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 ビール大麦の生育中期に発生する葉の黄化症状とすす症状は遺伝的な生理症状であり、その遺伝様式は、それぞれ単一の優性遺伝子、劣性遺伝子に支配されている。また、各症状が収量、外観品質および麦芽品質に悪影響を与えることはない。福岡県農業総合試験場・二条大麦育種指定試験地
背景・ねらい 平成8年産のビール大麦(ミハルゴールド)において、生育中期に葉の先端部が黄化する黄化症状と葉の表面がすす様となるすす症状がそれぞれ発生した。新品種の育成では、確認できる形質についてはその原因や遺伝様式を明らかにして、選抜の効率化を図ることが重要である。しかし、葉の黄化症状とすす症状については、これまでに解析が行われていない。そこで、各症状の発生原因と遺伝様式を明らかにするとともに、農業形質に与える影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 生育中期に発生する葉の黄化およびすす症状の遺伝様式は、黄化症状が単一の優性遺伝子、すす症状は単一の劣性遺伝子によりそれぞれ支配されている(表1)。
  2. 黄化症状およびすす症状が発生した部位からは、糸状菌、細菌、ウイルスのいずれも検出されないことから、これらの症状は病害ではなく、生理障害であると考えられる。
  3. 黄化症状とすす症状は、収量、外観品質および麦芽品質に悪影響を与えることはない。なお、黄化有の系統は黄化無の系統より千粒重が重く、側面裂皮粒の発生が少ない。すす症状有の系統は、無の系統より側面裂皮粒の発生が少ない(表2)。麦芽品質では、黄化有の系統はエキス収量、可溶性窒素、ジアスターゼ力および総合評点が無の系統より高い。すす症状に関しては、無の系統において可溶性窒素が高いが、他の項目では差はない(表3)。
成果の活用面・留意点
  1. 現在栽培されているビール大麦品種では、ミハルゴールドに黄化症状の発生が認められるが、栽培にあたって特にこの点に配慮する必要はない。
  2. ビール大麦の育種では、葉の黄化およびすす症状は廃棄対象としない。
図表1 221096-1.jpg
図表2 221096-2.jpg
図表3 221096-3.jpg
カテゴリ アスター 育種 黄化症状 大麦 新品種 生理障害 品種

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