タイトル |
温州ミカンのシートマルチ栽培によるチャノキイロアザミウマの効率的防除法 |
担当機関 |
長崎県果樹試験場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
温州ミカンを6月~11月まで光反射シートによりマルチ栽培すると、チャノキイロアザミウマの被害が軽減できる。なお、激発地帯ではマルチ処理と温州ミカンへの飛来源のイヌマキ防除を組み合わせると効果が高い。長崎県果樹試験場・病害虫科・常緑果樹科
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背景・ねらい |
カンキツ園の多くは傾斜地にあり、省力化、軽労働化のための新管理技術の開発が求められている。温州ミカンのシートマルチ栽培は果実の糖度向上、着色促進技術として普及している。そこで、周年マルチ栽培またはマルチ栽培とチャノキイロアザミウマの飛来源の1種である防風樹のイヌマキへの薬剤散布との体系処理による、チャノキイロアザミウマの被害軽減効果について解明し、シートマルチ栽培の省力防除技術を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 温州ミカンを、6月~11月まで透湿性資材の光反射シート(タイベック)でマルチ栽培すると、チャノキイロアザミウマによる果実被害が軽減され、その効果は果梗部および果頂部ともに認められる。新品と1年使用済の光反射シートの被害軽減効果の差は小さい(表1)。
- その他の病害虫ではアブラムシ類が光反射シートにより夏季の飛来が抑制されるが、ミカンハモグリガ、ミカンハダニ、黒点病等の発生は抑制も助長もされない(表2)。
- 防風樹のイヌマキに6月上旬から8月上旬にかけて3回、アセフェート水和剤を散布することにより、果実の被害を顕著に軽減できる(表3)。
- イヌマキ防除に加え、果実の糖度向上のために実施されている光反射シートを、8月中旬からマルチすることによりチャノキイロアザミウマの飛来数を減少させ、被害を著しく軽減できる(表3)。
- チャノキイロアザミウマの激発地帯ではイヌマキ防除と光反射シートマルチの組み合わせによって高い防除効果が期待できる。
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成果の活用面・留意点 |
- シートマルチ栽培により高品質果実が生産でき、除草労力が軽減できることに加え、さらにチャノキイロアザミウマの被害も低減できる。
- 6月からのマルチは被覆期間が約5カ月間と長くなるため、土壌水分や施肥の適正管理が必要である。
- 飛来抑制効果を得るためには、被覆面積に対する樹冠占有率が60%以下であることが望ましい。
- イヌマキへの散布薬剤は費用がかかるので、毎年チャノキイロアザミウマの被害が激しい地域で適用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
温州みかん
害虫
管理技術
傾斜地
省力化
除草
施肥
着色促進
防除
薬剤
その他のかんきつ
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