島尻マージ圃場における硝酸態窒素溶脱量の推定

タイトル 島尻マージ圃場における硝酸態窒素溶脱量の推定
担当機関 沖縄県農業試験場
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 島尻マージ地域のサトウキビ栽培圃場内における自由面地下水の水位上昇高から雨水の浸透水量を推定することができ、サトウキビ栽培期間に下層へ浸透する硝酸態窒素の量を推定することが可能である。沖縄県農業試験場・化学部・土壌微生物肥料研究室、沖縄県農業試験場・宮古支場・作物研究室
背景・ねらい 降雨時の表面流去が少なく透水性の高い島尻マージ地域においては、施肥窒素に由来する地下水の硝酸態窒素汚染が問題になっており、環境に負荷のかからない施肥体系が求められている。そこで、自由面(不圧)地下水の水位変化を基に、圃場における水動態を考察し、下層へ浸透する硝酸態窒素量の推定を目的とし、宮古島のサトウキビ圃場内に観測井戸(深さ8m)を設置し、施肥による水質モニタリング試験を行ってきた。
成果の内容・特徴
  1. 降雨が続いた後の水位上昇は24時間程度で起こり、上昇高と降雨量との関係を求めたところ、降雨量と地下水位の上昇の関係は、線形の関係にあった(図1)。
  2. 地下水位上昇高[cm]=0.427×降雨量[mm]-12.95
    このことは、水位の変化する土層(地下4m~6m)において粗孔隙率がほとんど一定していることを示唆している。この比率(1/4.27)を用いて水位上昇高から逆に浸透水量を推定できる。
    雨水の降下浸透量[cm]=地下水位上昇高[cm]/4.27
  3. 地下水の水位変動はΣ(降雨量-蒸発散位)と非常によく対応しており、浸透した雨水は滞留し、他層域への移動は少ないものと考えられる(図2)。調査期間内の総降雨量より総蒸発散位の方が大きくなっており、調査終了時の水位は当初より約20cm低下していた。
  4. 地下水の硝酸態窒素は1月以降の降雨の集中する時期に増加した。水位が下がると窒素濃度は低くなる傾向にある。降雨と蒸発散が繰り返される間に地下水の硝酸態窒素濃度は平衡に達すると考えられる(図3)。
  5. 採掘深さの位置から帯水していると仮定すると、地下水への硝酸態窒素負荷量[kg/10a]は、次式で算出できる。
  6. 水深[m]×硝酸態窒素濃度[mg/l]×粗孔隙率
    調査期間中における地下水への硝酸態窒素溶脱量は約2kg/10a、窒素施用量(25kg)の約8%と試算される。
成果の活用面・留意点
  1. 地下水面が地表から5m程度の比較的浅い地下水に適用される。
  2. 硝酸態窒素の溶脱量は降雨量等の気象条件に左右される。
図表1 221616-1.jpg
図表2 221616-2.jpg
図表3 221616-3.jpg
カテゴリ 肥料 さとうきび 施肥 モニタリング

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