地中点滴装置を用いたかん水施肥によるハクサイ心腐れ症の軽減

タイトル 地中点滴装置を用いたかん水施肥によるハクサイ心腐れ症の軽減
担当機関 国際農林水産業研究センター
研究期間 2000~2000
研究担当者
発行年度 2000
要約 地中点滴装置を用いて、窒素施肥量を低減したかん水施肥を行うことにより、ハクサイの結球重量は慣行施肥栽培と同等であるが、心腐れ症を軽減することができる。軽減の程度には品種間差異が認められ、耐性の1品種についてはほぼ完全に克服できる。国際農林水産業研究センター・沖縄支所・地力維持研究室
背景・ねらい アジア野菜研究開発センター(AVRDC)において、ハクサイの耐暑性品種が育成され、東南アジア各国で栽培面積が増大しつつある。しかしながら、熱帯・亜熱帯の高温多湿な地域では、心腐れ症等の生理障害が大きな問題になっている。本研究では、石垣島の黄色土圃場条件下で、ハクサイ心腐れ症の発生条件と軽減対策を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ハクサイの秋植え栽培(11月中旬定植、1月下旬収穫)における期間中の平均気温は摂氏19~23度の範囲にあった。期間中の降水量は558mmで、全かん水量を9mmとした結果、土壌の体積水分率は0.1~0.3m3m-3の範囲にあった。
  2. CDU入り化成肥料を用いた慣行施肥区(25gNm-2、全量基肥施用)と、窒素施肥量を低減(5gNm-2、8回に分けて毎週1回注入)したかん水施肥区の間で、結球重量に有意差は認められない(表1)。結球重量は品種間で異なり、無双(2.06kg)>大福(1.87kg)>優黄(1.72kg)>大福60(1.59kg)=新あづま山東(1.51kg)の順に大きい。
  3. 施肥法、品種、施肥法×品種交互作用の変動因別に、それぞれ0.1%、0.1%、1%水準で心腐れ症発生率に有意差が認められる(表1)。心腐れ症軽減の程度には品種間差異が認められ、耐性の1品種(優黄)については、かん水施肥により心腐れ症をほぼ完全に克服できる(表2)。
  4. 心腐れ症感受性品種(無双)と耐性品種(優黄)の間で、また慣行施肥区とかん水施肥区の間で、外葉と内葉のカルシウム含量はほぼ等しく(図1.A)、全窒素含量は大きく異なる(図1.B)。その結果、かん水施肥により内葉のCa/TN比が高まる(図1.C)。
  5. 通常、ハクサイ心腐れ症はカルシウム欠乏症と診断されるが、石灰質肥料を施用した土壌、石灰岩を母材とするアルカリ性土壌においても発生する。本研究の結果からは、窒素過多が主な原因と考えられる。
成果の活用面・留意点
  1. 活用事例:AVRDC育成の耐暑性ハクサイを用いた春植え栽培(3月中旬定植、5月中旬収穫)においても、窒素施肥量を低減したかん水施肥を行うことにより、結球重量は慣行施肥栽培と同等以上であるが、心腐れ症を大幅に軽減することができる。
図表1 221618-1.jpg
図表2 221618-2.jpg
図表3 221618-3.jpg
カテゴリ 肥料 亜熱帯 栽培技術 生理障害 施肥 耐暑性 はくさい 品種

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