水田土壌におけるダイオキシン類濃度の垂直分布

タイトル 水田土壌におけるダイオキシン類濃度の垂直分布
担当機関 九州農業試験場
研究期間 2000~2001
研究担当者
発行年度 2000
要約 水田土壌では、主として地表面~15cm深にダイオキシン類が分布しており、主たる異性体は過去に使用された除草剤の不純物であるT4CDDs、O8CDDである。また、水田土壌に特有なFe、Mnが集積するすき床層(15~20cm深)では、塩素数の多いダイオキシン類の比率が高い。九州農業試験場・水田利用部・水田土壌管理研究室(九州沖縄農業研究センター水田作研究部水田土壌管理研究室)
背景・ねらい 日本国内の水田土壌には、1960~1980年代にダイオキシン類を不純物として含む除草剤が使用されたために、ダイオキシン類の残留が懸念されている。しかし、水田はダイオキシン調査が詳細に行われている諸外国には少ない環境であるため、ダイオキシン類濃度等の基礎資料が不足している。そこで、湛水を繰り返すことによって生じるすき床層などの土壌化学組成の変化とダイオキシン類濃度との関係を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン(PCDDs)およびポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)の総和は、表層(0~5cm)で最も高濃度で160,000pg/g(110pg-TEQ/g;TEQ=2,3,7,8-TCDD毒性当量)あり、高濃度の部位は0~15cm深である(図1)。深さ30cmまでの平均濃度は53pg-TEQ/gで、わが国の土壌の環境基準(1000pg-TEQ/g)の約1/20である。
  2. ダイオキシン類は、90cm深でも500pg/g(0.22pg-TEQ/g)存在するが、これは、土壌の環境基準の約1/4500以下である(図1)。
  3. ダイオキシン類の濃度は、全炭素量および全窒素量とやや類似した垂直分布を示す(図1)。
  4. 深さ90cmまでの土層では、T4CDDs(98pg/g~99,000pg/g)およびO8CDD(100pg/g~42,000pg/g)の濃度が他の異性体に比べ高い(図2)。
  5. Fe、Mnが集積するすき床層の部分では、塩素数の多いダイオキシン類の割合が高い(図2)。
  6. 表層土壌において毒性当量濃度の高いダイオキシン類は、P5CDD、H7CDDである(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 調査は九州農業試験場内(筑後)の1963年から稲わらを1t/10a連用し、管理来歴が明らかな稲・麦二毛作水田(土壌型:細粒灰色低地土)で、麦収穫後の2000年6月に行った。調査当日の地下水面は、80cmである。
  2. T4CDDsは、1970~80年代に使用されていた水田除草剤CNPに、O8CDDは1960年代に使用されていた水田除草剤PCPに不純物として含まれていた。なお、これらの異性体は、焼却施設等からも排出される事が明らかにされている。
図表1 221619-1.jpg
図表2 221619-2.jpg
図表3 221619-3.jpg
カテゴリ 病害虫 除草剤 水田 二毛作

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