タイトル |
サトウキビにおけるスクロースリン酸シンターゼ(SPS)遺伝子の識別法 |
担当機関 |
国際農林水産業研究センター |
研究期間 |
1999~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
サトウキビの光合成および糖蓄積に関与している酵素スクロースリン酸シンターゼ(SPS)の遺伝子は、トウモロコシのSPS遺伝子の一部を用いたサザンブロット法により識別できる。
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背景・ねらい |
スクロースリン酸シンターゼ(SPS)は、光合成系における転流スクロースを合成する酵素として注目されている。サトウキビでは、茎でのスクロースの合成・貯蔵に関わっており、スクロース含有率に関係する重要な酵素と考えられている。そこで、本研究では品種育成に役立てるため、サザンブロット法によってSPS遺伝子を識別する方法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- トウモロコシで単離されているSPS遺伝子を切断して4つのプローブとし、サトウキビのゲノムDNAでサザンハイブリダイゼーションを実施すると、いずれのプローブでもバンドが検出できる。(図1-a)
- 制限酵素Xba Iで断片化したゲノムDNAでは、4つのプローブで同じ泳動位置に共通したバンドがみられ、バンドを呈するDNA断片は4つのプローブと一致する部分を含んでいる。また、制限酵素Hind IIIまたはSac IとC断片プローブを組み合わせた検出では、ひとつのバンドしかみられず、バンドを呈するDNAはHind IIIおよびSac Iのそれぞれに2つずつの共通した制限酵素認識配列を有している。これらのことから検出されるバンドはSPS遺伝子であると考えられる。(図1-b,c)
- サトウキビのSPS遺伝子は、3'末端外側の異なる位置にSac I認識配列を有していると考えられ、ゲノムDNAを制限酵素Sac Iで切断し、Dプローブを用いて検出するとSPS遺伝子近傍の変異が識別できる。この方法で検出すると品種間で異なるバンドパターンがみられる。ただし、下位に共通してみられるバンドは、SPS遺伝子に共通した断片に由来するバンドで、特定の遺伝子を示すものではない。(図1-c,d)
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成果の活用面・留意点 |
- 遺伝資源の評価・利用に活用できる。
- 新たなSPS遺伝子のスクリーニングに利用できる。
- トウモロコシのSPS遺伝子とは相同性の低いSPS遺伝子が知られており、検出できないSPS遺伝子があることに注意する必要がある。
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図表1 |
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カテゴリ |
遺伝資源
さとうきび
シカ
とうもろこし
品種
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