タイトル |
水稲準奨励品種候補「西海230号」の生育特性と食味特性 |
担当機関 |
筑後分場 |
研究期間 |
1996~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2001 |
要約 |
福岡県の水稲準奨励品種候補「西海230号」は「ユメヒカリ」に比べて、成熟期が2日程度遅い晩生種である。穂数は多く、やや長稈であるが、耐倒伏性は優れる。いもち病は同程度にやや弱い。収量性は優れる。理化学的特性が優れ、食味は「ヒノヒカリ」以上で「コシヒカリ」と同程度である。
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キーワード |
準奨励品種、晩生、良食味、西海230号、水稲、粳種
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背景・ねらい |
現在、米の良食味品種の要望が一段と強くなり、米の販売競争の激化と価格の下落傾向が顕著となっている。こうした中で筑後地域ではモチ米、かけ米の販売の低迷にくわえて、晩生の良食味品種がないことから主食用品種は「ヒノヒカリ」に作付けが集中して適期刈取の実施が困難となり、良質米生産に支障をきたしている。このような背景のなかで、筑後地域においては晩生で、食味が優れるとともに耐倒伏性および収量性が優れる品種が生産者、農業団体から強く望まれている。「西海230号」はこれらの条件を満たした有望な系統であり、準奨励品種に採用して普及を図り、筑後地域産米ひいては本県産米の評価向上と販路拡大に寄与する。
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成果の内容・特徴 |
「西海230号」(西海195号/どんとこい:九州沖縄農研育成)は「ユメヒカリ」に比べて次のような特性を有する。
- 出穂期は1~2日早く、成熟期は2日程度遅い晩生に属する粳種である。耐倒伏性は優れ、強である。葉いもちおよび穂いもち圃場抵抗性は同程度かやや弱い。穂発芽性はやや難(データ略)で、収量性は優る(表1)。
- 稈長はやや長いが、穂長はやや短く(データ略)、穂数は多い。草型は中稈偏穂数型である。止葉は立ち、登熟後期まで穂軸が青く、草姿熟色とも良好である。脱粒性は難(データ略)である(表1)。
- 千粒重はやや軽いが、外観品質は腹白、心白が少なく(データ略)、良質である(表1)。
- 食味は炊飯米に光沢があって外観が優れ、粘りが強くユメヒカリより明らかに優れ、ヒノヒカリ以上でコシヒカリと同程度である(表2、図1)。
- アミロース含有率やタンパク質含有率は低く、アミログラム特性の最高粘度は高く、ブレークダウンは大きく、米の理化学的特性は優れる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 筑後地域を主体に2,000haの普及を図る。
- いもち病に弱いので、適期防除に留意する。
- 晩生種で千粒重がやや小さいので、出穂後は間断潅水の励行により根の健全化を保ち、水管理に留意し、千粒重の重い玄米生産に努める。
- 1穂籾数が多く、m2当たり籾数が多くなりやすいので、施肥量を控えめにして、登熟歩合の向上を図り、良質米生産に努める。
- 晩生種であるので、晩植は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
水稲
施肥
抵抗性
品種
防除
水管理
良食味
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