タイトル |
カンキツ新品種「肥の豊」 |
担当機関 |
熊本農研セ |
研究期間 |
1989~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2001 |
要約 |
カンキツ新品種「肥の豊」は、「不知火」を種子親に「マーコット」を花粉親に交配して育成した珠心胚実生変異である。果実の形状は「不知火」と大きく変わらないが、樹勢が強く、減酸が早い。
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キーワード |
カンキツ新品種、「肥の豊」、「不知火」、珠心胚実生変異、樹勢、減酸が早い
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背景・ねらい |
熊本県のカンキツ経営の柱である「不知火」は、高級果実としてブランド化されているが、樹勢が低下しやすく収量が少ないこと、成熟が遅れ、高酸果実の割合が高いことが問題となっている。このため、珠心胚実生変異による育種法を活用し樹勢が強く栽培しやすい、減酸が早く、早熟性で食味の良い品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 1989年に「不知火」に「マーコット」を交配して珠心胚実生149個体を育成した。1991年から1998年にかけ高接ぎ誘引下垂法による果実品質および葉・枝の形態調査を実施し、優良個体の「肥の豊」を選抜した。
- 本品種は、「不知火」に比べ、葉が大きく、強いトゲを有する。新梢は伸長良好なため、樹勢が強く、樹冠の拡大が早い(表1)。
- 果実の大きさは270~300gで「不知火」と同程度、果こう部にカラーを有する果実の割合がやや高い。着色は不知火と同時期かやや早い、果面はやや滑らかである(表2、写真1)。
- 果汁成分は、12月下旬収穫、貯蔵後1月中旬の分析で糖度12.5~14.0、酸1.2~1.4%となり、「不知火」に比べ糖度は同程度かやや低く、クエン酸含量が0.2%程度少ない(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「肥の豊」は、2000年3月に品種登録を申請し、同年10月に品種登録出願が公表された。
- 普及対象地域は、「不知火」の栽培地域とし、樹勢低下園の改植用品種として適する。
- 原木については、ウイルス検定の結果CTV、CTLV、SDVについて無毒であり、ウイルス予防のため繁殖過程においては、高接ぎ樹からの穂木採取を行わない。
- 栽培管理方法については、不知火の栽培方法に準じて行い、若木のうちはトゲが発生するので除去を行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
改植
カラー
経営管理
栽培技術
新品種
高接ぎ
繁殖性改善
品種
良食味
その他のかんきつ
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