加工用キャベツ新技術の導入効果

タイトル 加工用キャベツ新技術の導入効果
担当機関 福岡農総試
研究期間 1999~2001
研究担当者
発行年度 2001
要約 加工用キャベツ(業務用)大規模経営における超砕土ロータリ、作畝同時施肥機、改良型全自動収穫機を利用した新技術体系は、慣行体系よりも10a当たり労働時間が8%短縮でき、商品化率が3ポイント向上する。1kg当たり生産費は3%低下し、10a当たり所得では変わらないものの1時間当たり所得が10%増加する。作畝同時施肥機での畝内条施肥による商品化率の向上効果と、改良型全自動収穫機での省力効果が高い。
キーワード キャベツ、機械化、労働時間、生産費、所得
背景・ねらい キャベツ作では、省力化や軽労化を目的に機械化一貫体系への技術開発が進められており、中でも収穫作業の機械化への期待は大きい。しかし、これまでの全自動収穫機では、省力効果は認められるものの、収穫物の機械的損傷による商品化率の低下が問題となっていた。ここでは改良された全自動収穫機と超砕土ロータリ、作畝同時施肥機の3つの新技術を対象に、加工用キャベツ(業務用)大規模経営での導入効果を明らかにする。なお、分析対象農家は、水稲2.5ha、加工用キャベツ9.0haの大規模複合経営である。
成果の内容・特徴
  1. 改良型全自動収穫機による収穫作業の労働時間は、10a当たり16.5時間で慣行より2.8時間短縮される。計量・運搬を含む収穫作業全体の労働時間は30.3時間である(図1)。また、機械的損傷はほとんどなく、慣行と同等の商品化率を確保できる(データ略)。
  2. 作畝同時施肥機(畝内条施肥)は、基肥、作畝、追肥の3作業を一工程で実施できるため、3作業の10a当たり労働時間1.7時間を0.5時間短縮できる(表1)。さらに畝内条施肥は生育の斉一性が向上するため、商品化率が慣行より3ポイント高くなる(表2)。
  3. 超砕土ロータリによる耕起作業は、慣行の荒起こし後2回耕起を1回に削減でき、10a当たり労働時間を0.2時間省力化できる(表1)。
  4. 3つの新技術を導入した新技術体系では、10a当たり労働時間が慣行の44.6時間から41.1時間へ8%省力化できる(表1)。
  5. 省力効果と商品化率向上効果によって新技術体系では、慣行より1kg当たり生産費が3%低下する。10a当たり所得は変わらないものの、1時間当たり所得が10%、10a当たり利潤が14%増加する(表2)。
  6. 新技術導入の費用均衡面積は、3技術合計で5.9haである(表3)。改良型全自動収穫機導入の費用均衡面積は17.0haで、この面積以下の導入では経済的効果がない。しかし、キャベツ作で最も労働負担の大きい中腰での収穫作業から解放されることで、労働負担の軽減や雇用導入の可能性が期待できる。
成果の活用面・留意点
  1. キャベツ機械化一貫体系の普及資料として活用できる。
  2. 冬出し加工用キャベツの一斉収穫を前提とした数値であり、異なる作型や青果用出荷では数値の検証が必要である。
図表1 221899-1.jpg
図表2 221899-2.jpg
図表3 221899-3.jpg
図表4 221899-4.jpg
カテゴリ 加工 機械化 キャベツ 経営管理 軽労化 収穫機 出荷調整 省力化 新技術導入 施肥 大規模経営

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