急傾斜地でのカキの平棚栽培における収量、果実品質、作業性

タイトル 急傾斜地でのカキの平棚栽培における収量、果実品質、作業性
担当機関 福岡農総試園研
研究期間 1999~2001
研究担当者 牛島孝策
千々和浩幸
巣山拓郎
林 公彦
発行年度 2002
要約 急傾斜地のカキ園において平棚栽培を行うと、立木栽培に比べて樹冠占有率が高まり、10a当たり収量が多くなる。果実品質は果重が重く、果皮色が優れ、糖度が高くなる。管理作業は脚立を使用する割合が低くなり、薬剤の付着度が増加する。整枝法は2本主枝のオールバック仕立てが3本主枝に比べて作業性が優れる。
キーワード カキ、急傾斜地、平棚栽培、樹冠占有率、収量、果実品質、整枝法
背景・ねらい 平坦地から緩傾斜地のカキ園において、従来の立木仕立て栽培に替わる平棚仕立て栽培方式を開発し、低樹高化による作業効率の向上、労働負担の軽減並びに収量の安定と果実品質の向上などの効果をこれまでに明らかにしてきた。しかしながら、福岡県のカキ園は傾斜度30度以上の急傾斜地が多く、管理作業における労働負担は平坦地以上に大きく、急傾斜園でも平棚が適応できる技術開発が求められている。そこで、急傾斜地においてカキの平棚栽培を行った場合の収量、果実品質、作業性および整枝法を明らかにする。
成果の内容・特徴 1.
急傾斜地のカキ園において平棚栽培を行うと、樹冠占有面積1m2当たりの収穫果数や収量は立木栽培と同程度であるが、樹冠占有率が高いため、10a当たり収量が多くなる(表1)。
2.
平棚栽培での果実品質は、立木栽培に比べて果重が重く、果皮色が優れ、糖度が高くなる(表2)。
3.
摘蕾、摘果、収穫作業で脚立を使用する割合は平棚栽培が明らかに低くなる。せん定に要する時間は、平棚栽培と立木栽培の差がない(表3)。
4.
平棚栽培の2本主枝(V字形のオールバック仕立て)と3本主枝(2本は傾斜に沿って上方向、1本は下方向に配置した仕立て)では、収量と果実品質には差がない。各種作業で脚立を使用する割合は、2本主枝で低くなる(表1、表2、表3、図1)。
5.
スピード・スプレーヤによる防除では、平棚栽培が立木栽培より薬剤の付着度が増加する。また、平棚栽培の整枝法では差がない(データ略)。
成果の活用面・留意点 1.
急傾斜地におけるカキ平棚栽培の指導資料として活用できる。
2.
急傾斜地では、カキ樹の植列のすぐ上に作業道を設置すると管理作業がしやすくなり、機械の導入も容易となる。
図表1 222100-1.gif
図表2 222100-2.gif
図表3 222100-3.gif
図表4 222100-4.gif
カテゴリ 病害虫 かき 傾斜地 低樹高 防除 薬剤

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