タイトル | 乾乳牛に硫化物を給与すると骨形成は抑制される |
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担当機関 | 沖縄県畜産試験場 |
研究期間 | 1999~2003 |
研究担当者 |
島袋宏俊 玉城政信 後藤英子 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 乳牛の乳熱を防止するため、DCAD調整剤の陰イオン塩として硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムを用いると骨形成マーカーの血中オステオカルシン濃度は低下する。 |
キーワード | 乳牛、乳熱、DCAD |
背景・ねらい | 分娩前後に乳牛の乳熱を防止するため、乾乳末期にイオンバランス(DCAD)調整剤を利用し、飼料を陰イオン化にすることは有効であると考えられている。陰イオン化された飼料の給与が乳牛への骨代謝に及ぼす影響についての報告は少ない。 そこで、乾乳牛に陰イオン塩の硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムを飼料中に添加給与し、血中オステオカルシン濃度よりDCAD調整剤が骨形成に及ぼす影響を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1. 図1に示すように、陰イオン塩として食品添加物である硫酸カルシウム二水和物(CaSO4)および硫酸マグネシウム七水和物(MgSO4)を用い、DCAD値が207mEq/kgのオーツ乾草主体混合飼料17kgDMに対してDCAD値を-100mEq/kgとなるようCaSO4を300g、MgSO4を60g添加し、これをホルスタイン種乾乳牛の非妊娠4頭に7日間採食させ、乾物摂取量、尿pH、血中オステオカルシン濃度の推移を調査する。 2. DCAD調製剤に陰イオン塩に硫化物を利用すると乾物摂取量は減少しない(図2)。 3. 尿pHの平均値は添加前7.8で、添加日数が増すにつれ有意に低下し、添加7日目には5.5に達する(図3)。 4. 血中カルシウム濃度は9.0mg/dlから9.7mg/dlの範囲で推移し、給与前より低下する傾向にある。 5. 血中マグネシウム濃度は2.0mg/dlから2.3mg/dlの一定範囲で推移し、給与前との有意な差は認められない。 6. 血中リン濃度は添加前は5.8mg/dlで、添加7日目には3.9mg/dlと正常範囲の4.5~6.8mg/dlを下回る(図4)。 7. 骨形成マーカーの血中オステオカルシン濃度は19.1ng/mlから11.0ng/mlに低下し、DCAD調整剤添加により骨形成が抑制されることが示唆される(図5)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. DCAD調整剤を利用する際、参考となる。 2. 硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムを利用する際、リン酸カルシウムの併用が必要である。 3. 分娩前の乳牛で調査する必要がある。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
カテゴリ | 乳牛 |