促成ピーマンにおけるトレンチャー耕を取り入れたかん水施肥栽培

• 担当機関: 宮崎総農試
• 研究期間: 1999～2001
• 研究担当者: 南谷佳栄; 西原基樹; 横山明敏; 杉田浩一（現中部農林振興局）
• 発行年度: 2002
• 要約: 促成ピーマンにおいて、トレンチャーで深耕した部分でかん水施肥栽培を行うと、県基準の窒素施肥量の2割減肥ができる。かん水施肥栽培は、2日に1回、1株あたり2リットルの液肥（EC1.2mS/cm）を施用する。
• キーワード: 促成ピーマン、トレンチャー耕、かん水施肥、減肥
• 背景・ねらい: 施設野菜では、高品質安定多収をねらいとして多肥栽培が行われる場合が多く、その結果、土壌への養分蓄積や地下水汚染等の一因となっている。そこで促成ピーマンにおいて安定生産を維持するとともに環境への負荷低減を目的として、また、透水不良の細粒灰色低地土において通常かん水では通路部分に水が流れ出てくるため、トレンチャー耕を取り入れたかん水施肥について検討を行なう。
• 成果の内容・特徴: 1．; 総収量及び上物収量ともにかん水施肥2割減肥は慣行栽培とほぼ同等となる（表1）。; 2．; 葉・茎の硝酸態窒素含有率は、かん水施肥栽培では、栽培期間を通して慣行栽培を大きく上回る（データ省略）。; 3．; 株間土壌（深さ0～15cm）を採取するとかん水施肥2割減肥では、ECは0.14～0.45mS/cm、硝酸態窒素は5～13mg／乾土100gで慣行より大幅に低く推移し、変動が小さい（図1）。生土と水を容積比1：5で容器に入れ、1分間手で振とうする簡易振とう法では、かん水施肥2割減肥のECは0.2～0.5mS/cm、硝酸態窒素は19～28ppmで、推移の傾向は、常法によるものと同様であった（データ省略）。; 4．; 簡易振とう法の土壌のECと常法の硝酸態窒素の間には高い正の相関があり、簡易振とう法のEC値から土壌の硝酸態窒素が推定できる（図2）。; 5．; 栽培3年目でもトレンチャー耕による土壌の膨軟化の効果が見られる（図3）。
• 成果の活用面・留意点: 1．; 堆肥および苦土石灰施用後に、トレンチャーを用いて深さ約50cm、幅約35cmの溝を掘り、土壌を埋め戻した場所を畦を立てずに栽培する。; 2．; 宮崎県沿海地帯における細粒灰色低地土での施設ピーマン栽培を対象とする。; 3．; 簡易振とう法による土壌のEC(x)と常法の硝酸態窒素(y)との関係は、y＝20.5x＋2.6で示される。; 4．; かん水施肥栽培をするにあたって、点滴チューブや液肥混入機、電磁弁、タイマー等が必要となる。; 5．; ピーマンでかん水施肥栽培を行うとハウス内の空中湿度が低めになるため、点滴チューブは1本よりも2本の方が良い（本成果は1年目は2本、2年目からは1本敷設）。
• カテゴリ: 肥料 施肥 ピーマン