タイトル | トラクタに搭載したパソコン画面を見ながら行う田面の簡易均平化作業システム |
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担当機関 | 熊本農研セ |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
下門久 兼子健男 石氷泰夫 倉岡孝幸 村川雅己 |
発行年度 | 2002 |
要約 | 大区画水田における局所的な不陸は、掘削・盛土する位置とその土量とをパソコン画面上に表示する運土ナビゲーションシステムをトラクタに載せ、その画面を見ながらトラクタ後部のトラクタダンプを操作することにより、1人で容易に修正できる。 |
キーワード | 均平、大区画水田、運土ナビゲーションシステム、トラクタダンプ、GPS |
背景・ねらい | 基盤整備後の大区画水田において、盛土部の不等沈下や圃場周辺の交通条件等により不陸が発生する圃場がある。均平でない圃場は水管理が困難で生育ムラが発生し、雑草が繁茂しやすく、直播・不耕起等の低コスト栽培の妨げとなるため、営農段階での効率的な均平技術の開発が望まれている。そこで、田面の均平度を測定し、掘削・盛土する位置とその土量とをパソコン画面上に表示する運土ナビゲーションシステムによる均平化作業システムを開発する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 運土ナビゲーションシステムは、ノートパソコンと位置を認識するGPSセンサーとからなり、運転席前面の視認できるところに置かれたパソコン画面上に、予め均平度測定・入力してある田面の凹凸マップと参照して、掘削・盛土する位置とその土量を表示するものである(図1)。 2. 画面には、i)各100m2メッシュ内の掘削・盛土量および掘削運土回数と、ii)作業量(土量×距離)が最小となる運土ルートが後述のトラクタダンプ10mあたりの掘削量に基づいて演算・表示されるほか、自車位置、移動先、掘削盛土回数も表示され、作業進捗状況を一目で確認できる。また、トラクタを停止した状態で運土操作をシミュレーションすることもできる。 3. トラクタの後部にはトラクタダンプが3点リンクヒッチで懸架されており、トラクタ運転者(オペレータ)は、このトラクタダンプをパソコン画面の指示に従って上下動させ、掘削・運土・放土作業を行う(図2)。このトラクタダンプは底に取り付けられている溝型掘削板で土を掻き取って荷台に載せるものであり、少量の土量でも確実に掘削・運土できることや、標高が高いエリアから低いエリアに効率的に運土できることや、1回あたりの運土量を容易に把握できるといった特徴を有している(図3)。 4. 凹凸マップは、圃場を縦横10mメッシュに切ったときの交点の標高を均平度測定装置(図4)により測量して地図上にプロットしたものである。均平度測定装置は水平位置を測るGPSセンサーと田面の高低差を測る直線変位センサー、これら計測値を記録するパソコンとからなり、測定位置を画面上で確認しながら1人で測量できる。 5. 均平調査および掘削運土作業能率は、それぞれ1.0hr/ha、3.2~6.6hr/ha程度である(表2)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 掘削量が分かる場合、トラクタダンプ以外の掘削運土作業機を使用可能である。 2. 均平度調査から掘削運土作業は、土の状態が硬くヒコバエの短い収穫後早期に行うものとする。 3. 地山を基準とした土の単位体積重量変化率にも対応可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
図表5 | ![]() |
図表6 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 雑草 GPS 水田 低コスト栽培 水管理 |