タイトル |
家畜スラリー長期連用土壌では土壌繊毛虫の種数が増加する |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
要約 |
MPN法を土壌原生動物の種組成とその生息数評価法として改良し、家畜スラリー長期連用土壌において土壌繊毛虫相を評価すると、家畜スラリー投入量に伴い種数と生息数が増加する。
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背景・ねらい |
MPN(Most Probable Number:最確値)法は、土壌生態系において対象生物の生息数を推定する基本的な方法のひとつである。対象生物の有無を統計的に処理し、もとの試料中の生息数を推定するが、多様な種類から構成される土壌生物群集構造を評価する方法としては確立していない。そこで、群集構造解析に向けて土壌原生動物を対象に手法を改良し、家畜スラリーを長期連用した土壌(0,60,150,300t/ha投入区)に適用する。
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成果の内容・特徴 |
- 土壌繊毛虫の種組成と生息数を評価するための改良MPN法は以下のとおりである。すなわち、土壌サンプルにバクテリアを接種したレタス乾葉熱水浸出液を加えたものを10-1土壌希釈溶液とし、各種分散処理した後、10倍希釈系列を作製する。各希釈段階の100μlずつの希釈溶液を3穴の凹みスライド2連に分注し、摂氏20ないし23度で培養する。培養開始後約2週間、1ないし3日毎に増殖した繊毛虫を観察し、大きさや形、遊泳方法等の情報からグルーピングする。それぞれの種について、10倍希釈6反復のMPN表から各種個体数を推定する。
- 全繊毛虫数は、タッチミキサーを利用すると、0,60,150,300t/ha投入区においてそれぞれ0.2,0.7,1.4,1.4x105g乾土-1、一方往復振とう機を利用すると、0.2,2.0,1.7,2.2x103g乾土-1と土壌分散処理方法の影響が認められるが、いずれの場合にも家畜スラリー投入区で増加する。
- 改良MPN法を用いて繊毛虫を種ごとに分類すると(表1)、複数の処理区に共通に出現するグループと各処理区で特異的に現れるグループから構成されている。また、土壌採取時期、土壌分散方法等の違いに関わらず、スラリー投入量が増加するにしたがい種数が増加する傾向を示す(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 有機質資材投入が農耕地生態系に及ぼす影響評価手法として活用できる。
- 繊毛虫の分類には、顕微鏡下の形態観察と既存の画像データを比較する必要がある。
- 1985年以来同じ土壌管理をしてきたことから安定した生態系だと推定できる家畜スラリー長期連用土壌を利用した成果である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
土づくり
肥料
評価法
レタス
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