タイトル |
カラタチ及び中晩柑`天草'の根を識別するPCRマーカーの開発 |
担当機関 |
宮崎県総合農業試験場 |
研究期間 |
2002~2002 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2003 |
要約 |
現地で問題となっている中晩柑`天草'の自根発生樹の判別を容易にするため、台木であるカラタチ及び穂木である`天草'の根を識別する安定したPCRマーカーを開発した。
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キーワード |
果樹、カンキツ、中晩柑、天草、カラタチ、PCRマーカー
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背景・ねらい |
現地で`天草'の品質低下が問題となっているが、その一因は穂木の`天草'が発根し、養分を充分に吸収し、樹勢が強くなるためである。そのため、細根から抽出したDNAを用いて、台木であるカラタチ及び穂木である`天草'の根を識別する技術を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- PHYTOPURE(アマシャムライフサイエンス社製)を用い、細根0.1gからDNAを抽出する。
- カラタチの寒冷ストレスから誘導されるタンパク質遺伝子(CORc115)の上流域と下流域の情報を元にプライマーを設定し、rTaqDNA合成酵素を用い、次の条件で増幅(PCR)を行い、多型を示すバンドを得る(図1)。
PCR条件:摂氏95度・2分の熱変性の後、摂氏94度・30秒、摂氏50度・30秒、摂氏72度・1分、35回の増幅を行い、摂氏72度・7分の処理。
- 多型を示すバンドの塩基配列を解読し、DNAデータベースと照合した結果、カラタチ由来DNAで得られたPCR産物のみカラタチ由来CORc115遺伝子と100%の相同性を示し,また温州ミカン由来CuCOR19遺伝子と85%の相同性を示す(データ省略)。
- これらの情報を元に、プライマーを設計し(表1)、カラタチ及び天草由来DNAで遺伝子の増幅を行うと、カラタチ、`天草'及び両者の混合が判別できる共優性マーカーが得られる(図2)。
- PCR条件は下記のとおりである。
摂氏95度・5分の熱変性の後、摂氏94度・10秒、摂氏64度・20秒、30回の増幅を行い、最後に摂氏64度・7分の処理。
- このプライマーでPCRを行えば、採集された根がカラタチ由来か、天草由来か、両者の混合かの判別が可能となる。
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成果の活用面・留意点 |
- カラタチと天草が混合した際、片方の割合が極度に少なければ、増幅産物も減少するため、判別に注意を要する。
- 自根発生樹を確認したら増糖対策として、エチクロゼート乳剤2000倍を登録要件に基ずき2回散布すると効果的である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
あま
温州みかん
台木
データベース
その他のかんきつ
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