台風被害が少ない、サトウキビ新品種候補系統「RK94-4035」

タイトル 台風被害が少ない、サトウキビ新品種候補系統「RK94-4035」
担当機関 沖縄県農業試験場
研究期間 1993~2004
研究担当者
発行年度 2004
要約 サトウキビ「RK94-4035」は台風時の茎の折損が少なくて、潮風害後の収穫期の糖度も高い。黒穂病にも抵抗性である。本系統を台風による低収、低糖度地域に普及することで、サトウキビ生産の安定向上が期待できる。
キーワード サトウキビ、風折抵抗性、潮風害、黒穂病抵抗性
背景・ねらい 沖縄県久米島において、比較的肥沃な土壌では、脱葉性が良く立茎で手刈収穫が容易な「F177」が多く栽培され、保水力が弱くて干ばつ害が生じやすい圃場では「Ni9」が栽培されている。しかし「F177」は、萌芽が不安定で株出収量が低く、「Ni9」は黒穂病被害の拡大が問題となっている。さらに両品種共に、台風襲来時は茎の折損が多いため低収量であり、潮風害により収穫期の糖度が低くなる場合が多い。平成15年には台風被害が少なくて、株出収量の多い「Ni17」の普及が始められたが、同品種は黒穂病に弱く、保水力が弱い土壌では生育が劣るため、「Ni9」が栽培されている地域での普及には適さない。このため台風害に強く、黒穂病抵抗性を具え、高糖度で安定多収な品種が強く求められている。
成果の内容・特徴
  1. 「RK94-4035」は、早期高糖性で主要病害に対して抵抗性を具える「NiF8」を母本に、多収性品種の「Ni9」を父本に用い、1993年に交配して得た実生から、耐風性、耐病性、安定多収を育種目標として、選抜、育成した系統である。
  2. 台風による茎の折損が少ない(表3)。
  3. 台風襲来時の潮風害後の収穫期における糖度が「F177」、「Ni9」より高い(表1)。
  4. 出芽を確保することにより原料茎重は重く、可製糖率も高いため、可製糖量は3栽培型で安定して多い(表1)。
  5. 黒穂病抵抗性は「強」である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 台風による収量及び糖度低下の問題が深刻で、黒穂病被害の拡大が問題となっている沖縄県久米島地域の「Ni9」に置き換えて普及(362ha)することで生産の安定向上が期待できる。
  2. 発芽が悪いので、栽培に際しては発芽性の良い上位節の優良種苗を活用し、また植付け時には苗量を多めに投入して、かん水するなどの工夫により出芽確保に努める。
図表1 222661-1.jpg
図表2 222661-2.jpg
図表3 222661-3.jpg
カテゴリ 育種 さとうきび 新品種 多収性 抵抗性 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる