タイトル |
カキ平棚栽培での多目的ネット被覆による殺虫剤削減効果 |
担当機関 |
福岡農総試 |
研究期間 |
2000~2003 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2004 |
要約 |
カキ平棚栽培において多目的ネットを6月下旬~7月上旬から収穫期の11月下旬まで被覆すると、カメムシの被害が顕著に軽減され、殺虫剤の散布回数を約40%削減できる。また、被覆による果実品質や次年度の着花数への影響はほとんど認められない。
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キーワード |
カキ、平棚栽培、カメムシ被害、殺虫剤削減、ネット被覆
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背景・ねらい |
近年、環境保全型農業への期待が高まるなかで、果樹分野でも環境に配慮した栽培技術への対応が求められている。しかし、カキは病気や害虫の発生が多く、特にカメムシやフジコナカガラムシの大発生による被害が大きく減収要因となることから、福岡県におけるカキ生産上の大きな問題となっている。また、県内のカキ地帯では、毎年降ひょうによる被害が発生しており、ひょう害の回避策が望まれている。そこで、近年、ナシを中心に利用されている防鳥、防風、防ひょうを兼ねた白色多目的ネットをカキの平棚栽培に適用し、ネット被覆による防虫・殺虫剤削減効果、果実品質や樹体への影響等について明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- カキ平棚栽培において多目的ネット(5×2.5mmおよび6mm目合い)を6月下旬~7月上旬から収穫期の11月下旬まで被覆することにより、殺虫剤の散布回数を約40%削減でき、無被覆とほぼ同等の80%以上の健全果率がえられる(表1、一部データ略)。
- ネット被覆によるカメムシの被害度は無被覆と比較して少なく、多発生年では5×2.5mm目合いのネット区で顕著に減少する。また、被害果の吸汁痕数も無被覆と比較して少なくなる(図1)。しかし、フジコナカイガラムシによるスス果発生は多発年に増加傾向である(図2)。
- ネット被覆による遮光率は約20%程度あるが、果実着色に及ぼす影響は認められず、果実重、赤道部の果皮色、糖度、硬度などの果実品質や、翌年の着花数に及ぼす影響は認められない。また、日焼け果や汚損果の発生が少ない傾向がみられる(表2、一部データ略)。
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成果の活用面・留意点 |
- 環境保全型農業に対応したカキ栽培技術資料として活用できる。
- ネット被覆栽培では、フジコナカイガラムシの多発年に被害が増加しやすいため、粗皮はぎ等の耕種的防除や幼虫発生期防除を徹底する。
- 強風や降ひょうによる被害が予想される場合は4~5月からネット被覆を行う。ただし、その場合は人工授粉が必要となる。
- ネット施設費は、10a当たり約120万円程度(内平棚架設費約50万円を含む)で、耐用年数は10年程度である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
かき
カメムシ
栽培技術
日焼け果
防除
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