茶園におけるクワシロカイガラムシの分布特性と樹冠内の湿度

タイトル 茶園におけるクワシロカイガラムシの分布特性と樹冠内の湿度
担当機関 宮崎総農試
研究期間 2000~2004
研究担当者
発行年度 2004
要約 クワシロカイガラムシの茶園内での分布は、茶園周縁部に偏る傾向がある。これは、茶園の樹冠内湿度が内側部で高いことによるクワシロカイガラムシ卵のふ化率の低下が一因と推定される。
背景・ねらい クワシロカイガラムシはチャの難防除重要害虫であり、その防除には多量の化学農薬を散布する必要があり、農家の経済的・労力的負担およびチャ樹冠内に生息する天敵類への影響が大きな問題となっている。このため、茶園内での薬剤散布区域を限定した防除技術を確立するために、クワシロカイガラムシの茶園内での分布特性を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 茶園でのクワシロカイガラムシの被害は、茶園の両端から2列のうねおよび各うねの出入り口で大きくなる傾向がある(図1)。
  2. クワシロカイガラムシの被害や発生が茶園周縁部に偏る傾向は、地域に関係なく認められ、クワシロカイガラムシの密度が高まるほど顕著になる傾向を示す(表1)。
  3. クワシロカイガラムシ卵の発育に最適な湿度条件は、卵の性別にかかわらず相対湿度75~92%の範囲にあり、その湿度より高いまたは低い場合にはふ化率が低下する(図2)。
  4. クワシロカイガラムシのふ化率は、雌卵より雄卵で低い傾向にあり、とくに低湿度条件で雌雄でのふ化率の差が顕著となる(図2)。
  5. クワシロカイガラムシ第3世代のふ化期では、茶園周縁部の樹冠内の相対湿度は、卵のふ化に好適な湿度条件であるが、茶園内側部は高湿度条件であることから、この湿度条件の違いがクワシロカイガラムシの茶園内分布に影響していると推定される(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. このデータは、平坦地の弧状仕立て(弧の半径=3,000mm)の茶園で得られたものであり、傾斜地茶園や仕立て法が異なる場合には別途検討する必要がある。
  2. 茶園内側部の樹冠内湿度の低下が想定される中切り後の茶園などでは、クワシロカイガラムシの分布が茶園周縁部に偏らない可能性がある。
図表1 222830-1.jpg
図表2 222830-2.jpg
図表3 222830-3.jpg
図表4 222830-4.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 傾斜地 農薬 防除 薬剤

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