タイトル |
土着天敵フジコナカイガラクロバチに対する農薬の影響 |
担当機関 |
福岡農総試 |
研究期間 |
2001~2003 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
2004 |
要約 |
カキで使用する主な農薬の内、殺菌剤、BT剤、IGR系殺虫剤はフジコナカイガラクロバチ成虫にほとんど悪影響をおよぼさないが、有機リン系、合成ピレスロイド系およびネオニコチノイド系殺虫剤は常用濃度で強い毒性を持つ。これらの薬剤を野外のカキ葉に散布した場合、MEP水和剤は4日後には悪影響が消失するものの、他の殺虫剤は10~17日以上悪影響が持続する。
|
キーワード |
カキ、害虫防除、フジコナカイガラムシ、天敵利用、寄生蜂
|
背景・ねらい |
フジコナカイガラクロバチは、カキの重要害虫であるフジコナカイガラムシの土着寄生蜂類における最優占種であることが判明した(2003年度成果情報)。本種を防除に活用するためにはカキで使用される種々の農薬の影響を明らかにする必要がある。そこで、カキに登録がある農薬の内、福岡県で使用頻度が高い剤について、本種成虫に与える影響を解明し、土着天敵を活用した環境保全型防除体系の策定に活用する。
|
成果の内容・特徴 |
- 常用濃度で処理した殺菌剤3剤、IGR系殺虫剤2剤およびBT剤は直接的な接触試験においてもフジコナカイガラクロバチ成虫の生存にほとんど悪影響を及ぼさないが、有機リン系殺虫剤4剤、合成ピレスロイド系殺虫剤3剤およびネオニコチノイド系殺虫剤3剤は接触したクロバチ成虫を高率に死亡させる。
- 野外のカキに薬剤を散布した場合、MEP水和剤は散布4日後、DMTP水和剤およびアセタミプリド水溶剤は散布10日後、トクチオン水和剤は17日後には悪影響が消失するが、シラフルオフェン水和剤、アクリナトリン水和剤、イミダクロプリド水和剤、チアメトキサム顆粒水溶剤、ジノテフラン顆粒水溶剤は散布後17日以上悪影響が持続する。
|
成果の活用面・留意点 |
- カキの環境保全型防除体系を作成する場合に参考になる。
- ネオニコチノイド系殺虫剤のイミダクロプリド水和剤、チアトメキサム顆粒水溶剤、ジノテフラン顆粒水溶剤は寄生蜂に長期間悪影響があるものの、果樹カメムシ類とフジコナカイガラムシの両方に高い効果があるので、カメムシ多飛来時の防除にはこれらの薬剤を使用する。
|
図表1 |
|
カテゴリ |
病害虫
害虫
かき
カメムシ
くり
天敵利用
土着天敵
農薬
防除
薬剤
|