茎伸長が優れ多収なサトウキビ新品種「Ni23」(旧系統名「KY96T-537」)

タイトル 茎伸長が優れ多収なサトウキビ新品種「Ni23」(旧系統名「KY96T-537」)
担当機関 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 1996~2005
研究担当者 氏原邦博
寺島義文
伊禮 信
境垣内岳雄
福原誠司
松岡 誠
前田秀樹
下田 聡
杉本 明
発行年度 2005
要約 サトウキビ「Ni23」は、発芽、萌芽が良く、茎伸長が優れ、春植え、夏植え、株出しともに多収である。夏季に干ばつが発生した年でも既存品種より収量が多い。干ばつが発生しやすい地域に普及させることで、サトウキビの生産性向上が期待できる。
キーワード サトウキビ、株出し多収、干ばつ、初期伸長、奄美地域
背景・ねらい 鹿児島県奄美地域のサトウキビ栽培は、5つの島(奄美大島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島)で行われており、鹿児島県の全生産量557,666tの約70%(2003/2004年期)を占めている。同地域の主要品種は「NiF8」(61%)、「F177」(26%)であるが、「NiF8」や「F177」は干ばつ条件下で少収になりやすいという欠点がある。2003年から萌芽性が良好で、風折抵抗性に優れる「Ni17」の普及を進めているが、この品種も干ばつ条件下では少収になりやすい。そこで、夏季に干ばつに見まわれた年でも収量が多い品種を育成し、同地域におけるサトウキビ生産性の向上を図る。
成果の内容・特徴
  1. 「Ni23」は、早期高糖性で多収の「NiF8」を種子親に、萌芽性、分げつ性に優れる多収の「Ni9」を花粉親にして1994年に交配を行い、1996年に実生選抜を実施して以降、株出し萌芽性と高糖性を重視して選抜した系統である。
  2. 発芽、萌芽、茎伸長が優れ、奄美地域において春植え、夏植え、株出しのいずれの作型でも、「F177」よりも原料茎重が多い(表1)。
  3. 奄美地域における甘蔗糖度は春植え、夏植え、株出しのいずれの作型でも「F177」より高く、可製糖量も多い(表1)。
  4. 7、8月に干ばつが発生した年でも生育が良く「NiF8」、「F177」、「Ni17」より原料茎重が重く、可製糖量が多い(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 鹿児島県が奄美地域を対象に奨励品種として採用を予定している。干ばつが発生しやすい地域での「F177」の代替として、1000haの普及を見込んでいる。
  2. 黒穂病抵抗性は弱である。発生した場合には速やかに抜き取る。
  3. 強風時に茎の折損が発生しやすいので、風折被害を受けやすい圃場での栽培は控える。
図表1 222928-1.jpg
図表2 222928-2.jpg
図表3 222928-3.jpg
カテゴリ さとうきび 新品種 抵抗性 品種

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