キイチゴ主要品種の西南暖地での特性

タイトル キイチゴ主要品種の西南暖地での特性
担当機関 熊本農研セ
研究期間 2000~2004
研究担当者
発行年度 2005
要約 キイチゴの「ボイソンベリー」「インディアンサマー」は早生で品質良好であるが、収量が少ない。「マートン」「バイオチーフ」は多収であるが、収穫後半が梅雨期に入るので完熟前に収穫した方が良い。いずれも生食には適さず、加工用原料として用いる。
キーワード キイチゴ、収穫時期、収量、果実品質、用途、加工用原料
背景・ねらい ブラックベリーの「ボイソンベリー」「マートン」「バイオチーフ」とラズベリーの「インディアンサマー」における収穫期、収量および果実品質を調査し、西南暖地での栽培適応性について明らかにする。
成果の内容・特徴 1.熊本県宇城市での収穫期は、「ボイソンベリー」「インディアンサマー」が5月下旬~6月中旬、「マートン」「バイオチーフ」が6月中旬~7月中旬である(表1)。
2.単位面積当たりの収量は、「マートン」が最も多く、「ボイソンベリー」「インディアンサマー」はその2、3割とかなり少ない(表1)。
3.1果重は、ブラックベリーでは「マートン」「バイオチーフ」「ボイソンベリー」の順に重く、5~6gの範囲である。ラズベリーの「インディアンサマー」は、ブラックベリーと違い、果芯部(花托)がはずれるため、平均2.5gと軽い(表1)。
4.糖度(Brix)は、「ボイソンベリー」「インディアンサマー」では10以上で、他の2品種より2、3高い(表1)。また、ブラックベリーにはショ糖が含まれず、果糖がブドウ糖よりやや多い。「インディアンサマー」には果糖、ブドウ糖、ショ糖の順に多く含まれるが、大きな差ではない(表2)。
5.有機酸の含量は、「バイオチーフ」が最大で、「ボイソンベリー」が最小である。ブラックベリーではクエン酸がリンゴ酸の2~3倍含まれ、「インディアンサマー」では6倍程度含まれる(表2)。全品種とも酸含量が多いため、食味は生食としては劣るが、4品種の中では「インディアンサマー」が最も優れる。
6.「マートン」の完熟(黒色に着色)と完熟前(赤色と黒色が混じった状態)では、糖酸に大きな差がみられる(表3)が、加工に用いる場合はあまり問題にはならない。
7.果実の大きさ別に品質をみてみると、「ボイソンベリー」では差がないが、「マートン」では大玉が中玉や小玉よりやや糖度が高く、酸が低い(データ略)。
8.「ボイソンベリー」「マートン」とも、着色が進むほど果実品質は優れる(表4)。なお、ブラックベリーは熟度が進むほど赤黒色が強くなり、特に「マートン」は黒色に近くなる。一方、ラズベリーの「インディアンサマー」は鮮やかな赤色になる。
9.「ボイソンベリー」「インディアンサマー」にはラズベリー香があるが、特別強い方ではない。
成果の活用面・留意点 1.今回供試した品種は酸味が強く、生食には向かないので、ケーキやジャム等の原料としての用途を検討する必要がある。
2.成熟期に曇雨天日が多い年や、栽培面積が多くて収穫が遅れる場合は、完熟での収穫では腐敗果やカメムシ、ショウジョウバエ等による虫害果が多発しやすいので、完熟前の赤熟れ状態で収穫した方が収量が多く、作業効率が高い。また、加工用途の場合、熟度による品質差は特に問題にならない。
図表1 223013-1.jpg
図表2 223013-2.jpg
図表3 223013-3.jpg
図表4 223013-4.jpg
カテゴリ いちご 加工 カメムシ 品種 ブラックベリー ラズベリー 良食味 りんご

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