タイトル |
飼料イネ栽培で多発生したいもち病菌のレースと個体群構造 |
担当機関 |
(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2005 |
要約 |
熊本県内の飼料イネ栽培が盛んな2地域において、いもち病真性抵抗性遺伝子Pik-mを保有する「ニシアオバ」に発生したいもち病菌はすべてレース037.1と判別されたが、個体群構造には大きな差異があり遺伝的背景が異なると推定される。
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キーワード |
飼料イネ、イネいもち病菌、レース、Pot2 rep-PCR、簡易個体識別法、個体群構造解析
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背景・ねらい |
飼料イネは、耕畜連携による自給飼料の確保と水田の高度利用の面から九州地域を中心に栽培面積が拡大し、品種育成や低コスト栽培技術体系の確立が急がれているが、様々な病害が発生し問題となっている。2003年、熊本県阿蘇郡および球磨郡湯前町において、いもち病が多発生しイネの生育が著しく阻害された。そこで、飼料イネ品種・系統のいもち病真性抵抗性遺伝子型を推定するとともに、分離菌株のレース判別とPot2 rep-PCR法(鈴木ら2004)による個体群構造解析を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 九州地域で栽培される主要な飼料イネ品種・系統のうち、「スプライス」と「ニシアオバ」でいもち病の発生を確認している。いもち病菌標準菌株の接種試験により推定される真性抵抗性遺伝子型は、「スプライス」(+)、「ニシアオバ」(Pia Pik-m)である(表1)。
- 「ニシアオバ」から分離されたいもち病菌株は、いずれも熊本県内では極低頻度でしか分離されないレース037.1であり、真性抵抗性遺伝子PiaとPik-mに親和性である。「スプライス」および両地域の食用イネからは、「ヒノヒカリ」(Pia Pii)等の品種に病原性を持つレース007.0がおもに分離される。(表2、表3)
- 「ニシアオバ」分離菌株は、Pot2 rep-PCR法により明瞭に異なるDNAフィンガープリントパターン(FP)を示し(図1)、阿蘇町分離菌株は遺伝子型Ku4に、湯前町分離菌株はほとんどがKu1に類別される(表2、表3)。「スプライス」および食用イネ作付圃場から幅広く収集した菌株は多様な遺伝子型に類別され、地域により優占している遺伝子型に特徴があり、「ニシアオバ」分離菌株とは個体群構造に大きな差異がある(表2、表3)。これらのことから、阿蘇町および湯前町で「ニシアオバ」に同時並行的に発生したいもち病菌は、同一レースではあるが遺伝的背景が異なるものと推定され、いもち病菌レースの動態研究における簡易個体識別法の有用性が認められる。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は、飼料イネ栽培におけるいもち病発生リスクに応じた品種選択や真性抵抗性の効果的利用技術の開発に活用できる。
- 2003年のいもち病多発要因には、気象要因と作型や肥培管理等の複数の要因も関与していると推察される。
- 「ニシアオバ」の育成過程においては、いもち病の自然発病を認めていない。2003年に実施した阿蘇町および湯前町における試験栽培には育成地由来の同一種子が使用された。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
いもち病
栽培技術
水田
抵抗性
抵抗性遺伝子
低コスト
肥培管理
品種
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