タイトル |
ミナミノカオリのタンパク含量と製パン性 |
担当機関 |
熊本食加研 |
研究期間 |
2003~2004 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2005 |
要約 |
適正な窒素施肥で栽培されたミナミノカオリはタンパク含量が増加し、1CW(カナダ産・標準品)や市販パン用小麦粉と同等若しくはそれ以上の製パン性を示す。しかし、窒素施肥が少ないと玄麦中のタンパク含量が少なくなり、そのような小麦粉では製パン性は劣る。
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キーワード |
小麦、ミナミノカオリ、製パン性、タンパク含量
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背景・ねらい |
製パン性が高いパン用小麦粉はタンパク含量が高いが、小麦粉のタンパク含量は窒素施肥量によって変動する。熊本県では、高タンパク小麦ミナミノカオリに実需者の期待も大きく、認定品種として平成17年産小麦から本格的な栽培が始まったが、タンパク含量の低いミナミノカオリの製パン性は明らかにされていない。そこで、ミナミノカオリの製パン性が小麦粉のタンパク含量によってどのように変化するのか、またタンパク含量の違う玄麦から加工された小麦粉の内容成分や製パン性について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 玄麦のタンパク含量は、標準施肥14.7%、少施肥8.8%であった(表1)。
- 製粉歩留は約66~71%で、小麦粉のタンパク含量は玄麦から約1~2%減少し、1CWと比較して標準施肥は同程度、少施肥は約5%低い。ミナミノカオリの吸水率は、1CWに比較して約8%低い(表2)。
- 小麦粉中のタンパクを溶媒抽出分画すると、タンパク含量が高い方でグリアジン画分が増加する。グリアジン/グルテニン比も、標準施肥1.35、少施肥1.12で、タンパク含量が高い方で1CWに近かった(表3)。
- ホームベーカリーでの製パンの結果、少施肥<市販小麦粉=1CW<標準施肥の順にパンの容積が大きくなり、標準施肥は1CWや市販小麦粉と同等若しくはそれ以上の製パン性を示したが、少施肥は十分に膨らまない。ミナミノカオリの標準施肥のパンの内相は、1CWと同程度に色調や膜伸びが良好で肌理も細かいが、少施肥では風味が劣る(写真1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果はミナミノカオリの品質向上のため、小麦栽培農家への普及資料として活用する。
- ミナミノカオリの栽培は、普及センター等の指導を受け地域の施肥基準を遵守する。
- ミナミノカオリは独特の風味があるので風味を生かした製パンを行うことにより、輸入小麦粉と差別化できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
加工
小麦
施肥
品種
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