タイトル |
サツマイモ塊根加熱時のアクリルアミド生成量 |
担当機関 |
サツマイモ育種研究室 |
研究期間 |
2003~2004 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2005 |
要約 |
サツマイモ塊根を油中で揚げ調理した時のアクリルアミド生成量は、加熱前の還元糖ではなく遊離アスパラギン含量と強い相関がある。サツマイモを原材料に含む市販加工品15点のアクリルアミド含量は545μg/kg(=ppb)以下である。
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キーワード |
サツマイモ、塊根、アクリルアミド、加熱、アスパラギン、還元糖
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背景・ねらい |
アクリルアミドは国際癌研究機関による発癌分類で「ヒトに対しておそらく発癌性がある」とされる物質である。アクリルアミドは還元糖の存在下でアスパラギンが加熱されて生成することが明らかになっており、各種高温加工・調理食品中のアクリルアミド含量が公表されている。しかし、ジャガイモ塊茎などに比べ、サツマイモ塊根のアクリルアミド生成に関する情報は極端に少ない。そこで、サツマイモ塊根について、加熱した場合のアクリルアミド生成量と加熱前の各種成分含量との関係、および、サツマイモを原材料に含む市販加工品中のアクリルアミド含量を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 肉色が黄白色系、紫色系、および橙色系それぞれ5品種(合計15品種・系統)の塊根のスライスを摂氏197度の大豆油中で加熱した場合のアクリルアミド生成量は、加熱前塊根中の遊離アスパラギン含量と強く相関し、還元糖であるグルコース含量とは相関がない(図1)。また同じく還元糖であるフルクトース含量とも相関がない(データ省略、全品種についてR=0.021、黄白色系、紫色系、および橙色系それぞれについてR=0.264、0.141および-0.409)。 このことは、アクリルアミド生成量が加熱前の還元糖含量と強く相関するジャガイモ塊茎の場合とは異なる。
- 品種「コガネセンガン」の塊根を摂氏180度加熱した場合のアクリルアミド生成量は摂氏197度加熱した場合の約6分の1である(表1)。
- サツマイモを原材料に含む国内の市販加工品15点のアクリルアミド含量は17から545μg/kgの範囲である(表2)。同じ形状の製品であっても含量に10倍以上の差が見られる(表2、紫イモを主原材料とするチップス、最小39から最大545μg/kg)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果はサツマイモ塊根の加熱による調理・加工上の参考資料となる。
- 摂氏197度での加熱は通常の調理・加工より高い温度である。
- 家庭での調理では温度管理に注意することが好ましい。
- 本成果における市販加工品のアクリルアミド含量は市販品を網羅した結果ではないので、各食品群を代表する数値ではない。同じ形状の製品でも原料であるサツマイモ塊根の品種や加工法の違いによりアクリルアミド含量が変動することがあり得る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
温度管理
加工
大豆
ばれいしょ
品種
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