バレイショ混合サイレージ給与による高品質豚肉生産

タイトル バレイショ混合サイレージ給与による高品質豚肉生産
担当機関 長崎県畜産試験場企画
研究期間 2004~2006
研究担当者
発行年度 2006
要約 規格外バレイショを飼料原料とした混合サイレージを肥育豚(60~110kg)に給与することで、市販配合飼料給与より発育は劣るが、筋肉内脂肪含量が高い豚肉を生産できる。また、その豚肉は通常の豚肉より香り(臭い)が弱く、柔らかく且つ風味が良く総合的においしい。
キーワード バレイショ、サイレージ、肥育豚、筋肉内脂肪
背景・ねらい バイオマス(再生可能な有機性資源)を活用した循環型社会の構築が検討されている。規格外農産物もバイオマスの一つとされ、長崎県内で廃棄される規格外バレイショは生産量の5.5%と推計されており有効活用が望まれている。近年、でんぷん質飼料を多給することで筋肉内脂肪含量の多いいわゆる霜降り豚肉を生産できることが報告されている。これは、必須アミノ酸であるリジン含量が、日本飼養標準・養分要求量より低いことが理由と考えられている。そこで、でんぷん質に富む規格外バレイショを主原料に、リジン含量が低くなるよう設計した混合サイレージとすることで、バイオマスを飼料として有効活用させるとともに筋肉内脂肪含量の高い高品質豚肉を生産する可能性を検討する。
成果の内容・特徴
  1. 規格外バレイショを水洗、細断後に他の飼料と混合したサイレージ(バレイショ混合割合50%)は、栄養成分の損失が少なく、配合飼料に比べ安価である(表1)。
  2. バレイショ混合サイレージを給与した肥育豚は、市販配合飼料給与より発育が劣ることで出荷は9日長くなるが、飼料摂取量が少ないことから飼料要求率に差は認められない。また、背脂肪厚およびロース芯面積等の枝肉成績においても、バレイショ混合サイレージの影響は認められない(表2)。
  3. バレイショ混合サイレージを給与し生産した豚肉は、市販配合飼料を給与し生産した豚肉より筋肉内粗脂肪含量が高く、破断応力が低いが、加熱損失率および保水力に差は認められない。また、バレイショ混合サイレージを給与し生産した豚肉は、飽和および一価不飽和脂肪酸含量が高く、多価不飽和脂肪酸含量が少ない特徴がある(表3)。
  4. バレイショ混合サイレージを給与した豚肉の食味は、通常の豚肉より香り(臭い)が弱く、柔らかく且つ風味が良い特徴が有り、総合的においしい(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 廃棄している規格外バレイショを肥育豚用飼料として有効活用できる。
  2. 地域農産物を活用した高品質豚肉が生産できる。
  3. 筋肉内脂肪含量が高い豚肉生産には、飼料設計にあたりリジン等のアミノ酸バランスを考慮する必要がある。
  4. バレイショの芽は中毒物質であるソラニンを含むことから、発芽したバレイショを材料としないように注意する。

図表1 223206-1.jpg
図表2 223206-2.jpg
図表3 223206-3.jpg
図表4 223206-4.jpg
カテゴリ 出荷調整 飼料設計 ばれいしょ 良食味

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる