タイトル |
日本ナシ「幸水」のショ糖溶液を用いた人工受粉技術 |
担当機関 |
福岡県農総試 |
研究期間 |
2003~2005 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2006 |
要約 |
日本ナシ「幸水」のハウスおよび露地栽培で寒天0.1%添加した10%ショ糖溶液を用いた人工受粉では、花粉希釈倍率が250倍で慣行の梵天受粉と同等の結実が確保でき、果実品質もほぼ同程度であるが完全種子数は少ない傾向にある。
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キーワード |
ナシ、ショ糖溶液、人工受粉、結実、果実品質
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背景・ねらい |
日本ナシのほとんどの品種が自家不和合性であり、結実確保や品質向上には交配親和性のある品種の混植か人工受粉が必要である。特に、早期出荷を目的として行われるハウス栽培では、「幸水」の単一品種の植栽園が多く、人工受粉は不可欠な作業となっている。これまで、人工受粉は梵天や綿棒などを用いて行われていたが、より省力的な受粉方法が望まれている。そこで、キウイフルーツですでに実用化されているショ糖を花粉希釈溶媒に用いた人工受粉技術の日本ナシ「幸水」への適用について検討する。
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成果の内容・特徴 |
- ハウスおよび露地栽培の日本ナシ「幸水」において10%ショ糖溶液に花粉を希釈倍率250倍で受粉すると結実率は80~94%で、慣行受粉の梵天区とほぼ同程度に高い。果実の品質は、慣行の梵天区と比べ完全種子数が少ない傾向にあるが、果形の歪み等は問題がなく、ほぼ同程度の果実重、果実糖度である(表1一部データ略)。
- 寒天0.1%添加した10%ショ糖溶液を用いた受粉では花粉希釈倍率が250倍~500倍では79%以上の結実率で、果実の糖度もほとんど差がないが、希釈倍率が500~1000倍では、果実重が小さく、完全種子数が少ない傾向である(表2)。
- 寒天0.1%添加した10%ショ糖溶液中では、花粉は時間の経過とともに発芽率が低下し、3時間後には40%以下に低下する(図1)。
- 受粉に市販のハンドスプレーを用いると作業時間は慣行の梵天受粉に比べ約20%短縮するが、使用する精製花粉量は希釈倍率250倍では約3割増加する(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 日本ナシのショ糖溶液を用いた人工受粉技術として活用できる。
- ショ糖溶液は、蒸留水を加熱しながら寒天粉末0.1%とショ糖10%量をいれる。その後、軽く沸騰し始め、液が透明になったら火を止め、冷却させて冷蔵庫で保存する。
- 花粉は精製し、発芽率の良いものを用いる。受粉毎に必要量を希釈し、2時間以内に使い切る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
キウイフルーツ
出荷調整
受粉
日本なし
品種
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