極早生ウンシュウ「岩崎早生」の高品質果実生産のための水分ストレス誘導指標

タイトル 極早生ウンシュウ「岩崎早生」の高品質果実生産のための水分ストレス誘導指標
担当機関 長崎果樹試
研究期間 2004~2006
研究担当者
発行年度 2007
要約 極早生ウンシュウ「岩崎早生」において、果実の日肥大量を8月上旬~9月中旬頃まで0.30~0.35mm程度に、葉巻程度を8月上旬から収穫時まで35~40%程度にすることで、葉の最大水ポテンシャル(LWP)は-0.8MPa以下に維持され、収穫時に糖度11以上の果実を生産することができる。
キーワード 極早生ウンシュウ、岩崎早生、LWP、葉巻程度、日肥大量、糖度
背景・ねらい 水分ストレス変化に伴い果実肥大、葉色、葉巻き程度などの樹体反応や、葉中成分や水分含量等の樹体内成分が変化することが考えられる。しかし、それらの生体情報と水分ストレスを関連づけた解析手法が無く、現場ほ場で水分ストレスの負荷程度を的確に判定することが困難である。そこで、これらの生体情報を用いた簡易な診断技術による糖度11以上の極早生ウンシュウミカンを生産するための指標を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 8月以降の果実の日肥大量および葉巻程度とLWPとの間には正の相関がみられ、水分ストレス診断の簡易な指標として活用できる。LWPが-1.0MPaの時、果実の日肥大量は0.25~0.35mm程度、葉巻程度は35~40%程度となる(図1、図2)。
  2. 収穫時に果実糖度11以上となる樹は、8月以降収穫時までLWP-0.8MPa以下の水分ストレスである(図3)。
  3. 収穫時の糖度11以上となる果実の日肥大量は、8月上旬から9月中旬頃まで変動はあるものの平均すると0.30~0.35[mm]程度で推移し(図4)、樹の葉巻程度は、8月以降収穫時まで35~40%程度で推移する(図5)。
  4. 収穫時に糖度11以上となる果実は、8月上旬に糖度8以上、M級果実になるためには8月10日に果実横径が46[mm]程度である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 葉巻程度は、写真1の要領で春しょうの第3葉を1樹当たり10葉、2~3反復し、午前10~12時の間に測定し算出した。算出方法は以下のとおりである。
    葉巻程度(%)=(開張時葉幅長ー収縮時葉幅長)/開張時葉幅長×100
  2. 果実肥大期に日肥大量が0.20mm以下および葉巻程度が40%以上となると-1.0MPa以下の強い水分ストレスがかかるため、5~10[mm]程度のかん水を行い樹勢維持を図る。
  3. 果実糖度11への誘導に当たっては、日肥大を基本に葉巻程度を併用して判断する。

図表1 223438-1.jpg
図表2 223438-2.jpg
図表3 223438-3.jpg
図表4 223438-4.jpg
図表5 223438-5.jpg
図表6 223438-6.jpg
図表7 223438-7.jpg
カテゴリ 温州みかん 診断技術

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