タイトル |
抑制栽培における高温期の防虫網全面被覆によるトマト黄化葉巻病防除法 |
担当機関 |
熊本県農研セ |
研究期間 |
2004~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2007 |
要約 |
抑制トマト栽培の高温期(定植~10月中旬)にポリプロピレン素材0.4mm目合い防虫網をハウス全面に被覆すると、タバココナジラミのハウス内への侵入が抑制され、トマト黄化葉巻病の発病が減少する。この場合のハウス内気温は慣行の4mm目合い防風網を被覆したハウス内に比べやや高くなるが、着果数減少等の障害は見られない。
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キーワード |
トマト黄化葉巻病、タバココナジラミ、防虫網、ハウス全面被覆
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背景・ねらい |
抑制トマト栽培では、高温障害回避のため10月中旬頃ハウスの屋根を被覆し、それまでは露地あるいは4mm目合い防風網を被覆した状態で経過することが多い。そのため、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)を媒介するタバココナジラミ(バイオタイプBおよびQ)のハウス内への侵入が容易で、トマト黄化葉巻病が甚大な被害をもたらしている。トマト黄化葉巻病の物理的防除法としてはハウス開口部の防虫網被覆の効果が認められているが、夏期にはハウス内が高温となりトマトの生育への影響や作業者への負担の増大が懸念される。そこで本試験では、定植から屋根被覆までの期間ハウス全体を防虫網で被覆するオールネット栽培による防除法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 抑制トマト栽培の高温期(定植~10月中旬)におけるポリプロピレン素材0.4mm目合い防虫網のハウス全面被覆は、トマト黄化葉巻病防除対策として有効である。
- 定植から屋根被覆までのポリプロピレン素材0.4mm目合い防虫網によるハウス全面被覆栽培は、媒介虫侵入抑制効果が大きく、トマト黄化葉巻病の発病を大幅に抑制することができる(表1)。
- ポリプロピレン素材0.4mm目合い防虫網のハウス全面被覆ハウスにおける9月上旬のハウス内最高気温は、ポリエチレン素材0.8mm目合い防虫網被覆ハウスと同程度である。また、4mm目合い防風網被覆ハウスに比べると2℃程度高い日があるが、着果数減少等の高温障害は見られない(図1、表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 0.4mm目合い防虫網の素材は、ポリエチレンに比べ糸が細く通気性に優れ、施設内が高温になりにくいポリプロピレン(福岡農総試、平成16年度九州沖縄農業研究成果情報)とする。
- ポリプロピレン素材0.4mm目合い防虫網の資材費は、ポリエチレン素材0.8mm目合い防虫網に比べ30%程度高い。
- 育苗期には防虫網や紫外線カットフィルム等を利用した物理的防除および薬剤防除を徹底する。また、定植後も薬剤防除で媒介虫密度の低下を図る。
- 本試験は間口8m、長さ24あるいは27m、高さ3.4m、軒高1.8mの南北向き単棟ハウスで実施した。
- 防除は、定植から屋根被覆までの期間に殺虫剤を2005年度が7回、2006年度が4回散布した。
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図表1 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
高温対策
栽培技術
タバココナジラミ
トマト
防除
薬剤
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