タイトル |
低温開花性、無側枝性が優れる秋ギク新品種「新神2(あらじんつー)」 |
担当機関 |
鹿児島バイオ研 |
研究期間 |
2002~2006 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2007 |
要約 |
秋ギク「新神2(あらじんつー)」は、変異誘発により「新神」に低温開花性を付与した品種で、無側枝性やボリューム等も優れることから、幅広い作型に適応可能である。
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キーワード |
秋ギク、新神、新神2、イオンビーム、変異誘発、低温開花性、無側枝性
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背景・ねらい |
近年の重油高騰による暖房コストの低減対策は経営上の大きな課題となっている。 秋ギク「新神」は、「神馬」への変異誘発により本県が育成した半無側枝性の品種で、摘芽摘蕾作業の省力化が可能なだけでなく、茎葉や花のボリュームもあることから全国に普及している。しかし、低温管理では開花が遅れる等の問題が残されていたため、「新神」の優れた特性に低温開花性を付与した品種の育成が求められていた。 そこで、「新神」へのイオンビームを変異原とした変異誘発による再改良を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 平成14年に、本県育成の秋ギク「新神」(平成18年3月品種登録)の無菌植物を用い、培養葉片にイオンビームを照射し、形成した不定芽から変異誘発個体を再生した。なお、イオンビームは炭素イオン(320MeV・12C6+1~5Gy)を照射した。
- 平成15年に個体選抜、16年に系統選抜、17~18年に系統適応性検定試験、また18年に県内主産地で現地試験を実施し、系統の評価を行った結果、特性の優れた1系統を選抜し、「新神2」と命名して品種登録出願を行った。
- 「新神2」の特性は以下のとおりである(表1、表2、表3、図1)。
1)開花日は、低温管理で行った3月下旬出し栽培では、「新神」よりも到花日数が10日ほど早く、また、本県が低温開花性に優れる系統として「神馬」から選抜した「神馬2号」と同等である。なお、開花もよく揃うことから、暖房コスト低減ができる。 2)草丈の伸長性は、「新神」、「神馬2号」より優れ、90cm切り花重は、「新神」と同等で、「神馬2号」より優れる。 3)舌状花数は「新神」と同等で、「神馬2号」よりも多い。なお、花弁がやや大きいため、満開時の花径は「新神」よりも大きい。 4)無側枝性が「新神」より強いため、摘芽、摘蕾作業が省力化できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 平成19年度より全国に許諾を認め、同時に種苗供給を開始した。すでに全国の輪ギク産地(平成19年10月現在、13県16団体)で栽培が始まっているが、低温開花性や無側枝性が高く、11月下旬から3月下旬までの幅広い作型に適応可能であるため、さらに普及が期待できる。
- 高温条件下(7月中旬~9月中旬)では無側枝性が強く発現するため、親株での採穂数が減少することから、6月下旬から2週間おきにビーエー液剤(2,000倍)を散布する。
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図表1 |
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カテゴリ |
馬
経営管理
コスト
省力化
新品種
低コスト
品種
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