トルコギキョウの茎と根にみられる湿生植物的な空隙組織

タイトル トルコギキョウの茎と根にみられる湿生植物的な空隙組織
担当機関 イチゴ周年生産研究チーム
研究期間 2006~2007
研究担当者
発行年度 2007
要約 トルコギキョウは茎と根の皮層部に連続した空隙を形成する。この空隙は、根への嫌気刺激がない状態においても細胞の崩壊によって幼苗期から形成され、基部から先端に向かって発達する。この組織は湿生植物の破生通気組織に類似する。
キーワード 耐湿性、湛水、通気組織、トルコギキョウ、空隙
背景・ねらい トルコギキョウは、生育初期には湿潤な土壌水分条件を好み、開花期まで常時湛水で栽培しても湿害を生じないほどの高い耐湿性を示す。このような耐湿性は、畑状態の水分条件で栽培される花きとしてはきわめてまれであり、植物体に耐湿性をもたらす特別な仕組みが存在することが推測される。そこで、耐湿性に関係する茎や根の構造上の特徴を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. トルコギキョウの茎と根の皮層の組織内には多数の大小の空隙が形成される(図1)。
  2. この空隙は播種後40日目ごろまでに種子根の基部に形成され始め、その後、植物の生長とともに拡大しながら、主茎、種子根、太い分岐根において基部から先端に向かって発達する(図1、表1)。
  3. 空隙は、皮層細胞の崩壊によって生じたものであり、その構造は湿生植物にみられる破生通気組織に類似する。
  4. 茎伸長した植物にもロゼット化した植物にも皮層内の空隙は観察されるが、その発達は、ロゼット化した植物より、茎伸長した植物のほうで若干早い(表1)。
  5. 空隙は、根への湛水による嫌気刺激がない状態でも形成される(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 破生空隙を発達させるために湛水による嫌気刺激が必要な中生植物や乾生植物とは異なり、トルコギキョウにおける空隙の形成は、環境条件に依存しない特性であることから、トルコギキョウは内部構造的にはイネなどの湿生植物に近いと判断される。
  2. トルコギキョウの高い耐湿性を理解し、栽培の安定化に資するための情報として利用できる。

図表1 223481-1.jpg
カテゴリ 湿害 耐湿性 トルコギキョウ 播種

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