性フェロモンを用いた交信かく乱法のオキナワカンシャクシコメツキに対する防除効果

タイトル 性フェロモンを用いた交信かく乱法のオキナワカンシャクシコメツキに対する防除効果
担当機関 沖縄農研
研究期間 2001~2008
研究担当者
発行年度 2008
要約 オキナワカンシャクシコメツキ成虫を防除するために、性フェロモンを利用した交信かく乱法を7年間実施し、モニタリングトラップによる平均総捕獲数では農用地で74.0%、ススキ原で93.7%の減少が認められ、本法は当該害虫の防除に極めて有効である。
キーワード 交信かく乱、オキナワカンシャクシコメツキ、ハリガネムシ、性フェロモン
背景・ねらい
    カンシャクシコメツキ類の幼虫(ハリガネムシ)はサトウキビの地下部の芽を食害し、不発芽や株出し不萌芽の主要な要因となっている。この幼虫を防除するためには植付け時や立毛時に薬剤を施用しているが、飲料水を地下水に依存する地域も多いため、環境に優しい防除技術の開発が要望されている。このために性フェロモンを利用した交信かく乱法によるオキナワカンシャクシコメツキ成虫の防除を南大東島(3,057ha)で実施する。
成果の内容・特徴
  1. 交信かく乱を実施するために、農用地(1,839ha:主にサトウキビ圃場)に長さ80mのポリエチレンチューブディスペンサーを2001年に2,250巻、2002年~2007年は2,750巻を成虫の発生時期である3月初旬から6月初旬にかけて設置する。また、島外周斜面に自生するススキ原も本種の発生源であるため、ディスペンサ-1,000巻を120cm単位で切断し、ヘリコプターを利用して2002年~2007年にかけて同時期に散布する。
  2. 農用地において交信かく乱を実施した初年(2001年)の24個のモニタリングトラップによる平均総捕獲数は、交信かく乱法の実施前年(2000年)のそれより96.0%の減少(誘引阻害率)が認められ、交信かく乱が生じていることは明らかである(図1)。
  3. 交信かく乱法の実施に伴って、農用地における平均総捕獲数は年経過とともに減少し、2001年の7.1頭から2007年の1.9頭へと74%の減少が認められるが、それらの差は有意ではない(図1)。
  4. ススキ原における18個のモニタリングトラップによるカンシャクシコメツキの平均総捕獲数は、交信かく乱法を実施した2002年では交信かく乱法を実施していない2001年より39.6%減少したが、両年の値には有意差はない。しかし、防除の年経過に伴って平均総捕獲数は減少し、2003年、2006年、2007年には防除を実施してない2001年より有意な減少がみられる。2002年から2007年にかけては93.7%減少(114.8頭から7.2頭)している(図2)。
  5. 農用地におけるサトウキビ圃場での手捕りによる野生成虫の捕獲数は防除の年経過とともに減少し、2001年から2007年にかけて89.3%の減少がみられる(図3)。2007年の平均総捕獲数(0.5頭)は2002年のそれ(5.4頭)より有意な減少がみられる。しかし、無防除区(宮城島)の野生成虫の捕獲数にはそのような年経過に伴う減少傾向は認められない。
成果の活用面・留意点
  1. オキナワカンシャクシコメツキが生息する他の地域において、交信かく乱法による防除の普及が期待できる。
  2. 地域全体の広域的な取り組みが必要である。
  3. 本種の交信かく乱用フェロモン剤(オキメラコン)が2008年6月に農薬登録された。
図表1 223671-1.jpg
図表2 223671-2.jpg
図表3 223671-3.jpg
カテゴリ 病害虫 害虫 さとうきび 性フェロモン 農薬 フェロモン 防除 モニタリング 薬剤

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