自然状態で測定された草地のメタン濃度とメタンフラックス

タイトル 自然状態で測定された草地のメタン濃度とメタンフラックス
担当機関 (独)農業環境技術研究所
研究期間 1990~1999
研究担当者
発行年度 1994
要約 草地におけるメタン濃度とメタンフラックスを自然条件下で測定した。乾燥した人工草地では下向きのメタンフラックスが観測され、牛の放牧草地では夜間に上向き早朝に下向きのメタンフラックスが観測された。
キーワード メタン濃度、メタンフラックス
背景・ねらい メタンは地球温暖化に影響する気体で、農耕地はその主要な発生・吸収源であることから、陸上生態系におけるメタンフラックス(単位面積、単位時間あたりの発生・吸収量)を正確に評価することが重要になっている。従来のチャンバー法に代わる自然状態での測定により、草地のメタンフラックスを求めた。
成果の内容・特徴
  1. 草地群落上の2高度(地上1.8mと0.3m)のメタン(CH4)濃度とCO2濃度を3分毎に上下切り替えて測定した。乾燥した草地ではCO2とは逆の大気から地表へ向かうフラックス(微生物によるCH4の吸収分解)に相当する濃度勾配を連続的に観測できた(図1)。
  2. 家畜生糞尿や液状廐肥溜めなどメタンの局所的発生源が近くにある放牧草地では、メタン濃度が短時間に大きく変動した。濃度の時間変化や風向などから高濃度になるのは局所発生源からの移流の影響であることがわかり、局所発生源の風下での測定では注意を要する。また、地表付近における大気微量気体の拡散はそれぼど速くない(通常の気象条件で10分程度では濃度が均一化されない)ことがわかった(図2)。
  3. 牛の糞尿が散在する放牧草地の11月上旬のメタンフラックスは、結露により放牧草地が湿潤状態となった夜間には0.1~0.3mgCH4/(m2h)の放出フラックスであったが、露が蒸発した後は0.3mgCH4/(m2h)程度の吸収フラックスとなった(図3)。本成果は、約100m四方の放牧草地を測定範囲とする平均的状態を示す。
成果の活用面・留意点 農耕地や自然生態系でのメタン濃度は気象条件に大きく左右される。本成果は従来のチャンバー法による結果とは測定手法を異にしているので、比較する場合には、風速、気温などの気象条件や測定対象範囲を十分に考慮する必要がある。なお、測定手法に関しては発表論文を参照されたい。
図表1 223786-1.gif
図表2 223786-2.gif
図表3 223786-3.gif
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図表5 223786-5.png
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カテゴリ 乾燥

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