タイトル |
画像解析による昆虫の食害葉面積の計測法 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
複雑な摂食痕を示す昆虫によって食害された葉の食害面積を画像解析を用いて計測する方法を考案した。本方法によりニジュウヤホシテントウの食害量を明らかにした。
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背景・ねらい |
植物と昆虫の相互作用や害虫による作物被害の解析を研究する上で、植物の受けた食害量を正確に測定することが重要になっている。しかし葉に穴を開ける昆虫とは異なり、葉肉だけを摂食し葉に複雑な摂食痕を与える食葉性昆虫の食害量を計測することは容易でない。こうした摂食痕を与える昆虫に食われた葉の食害面積を画像解析により計測する方法を開発する。またこれを用いてニジュウヤホシテントウの食害量を調べる。
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成果の内容・特徴 |
- 食害面積は画像解析装置(図1)と開発したプログラムを用いて計測した。
- 手順:昆虫に食害された葉を目盛りを入れた背景とともにポジフィルムで写真に撮る。葉のカラースライド写真をフォトビデオカメラで処理装置に取り込み、デジタル画像化する(図2A)。背景の目盛りをデジタイザーで読み取る。画像の輝度(明るさ)の違いにより二値化処理し、葉の食害部分,残存部分および背景部分に分け、残存部分(図2B)と葉全体(図2C)の画素をカウントさせる。二値化処理はビデオモニターで確認しながら行い,必要ならデジタイザーで画像の修正を行う。最後に食害面積や全葉面積に対する食害率を計算する。
- 開発した方法の精度を検討するため、ポプラハバチに食害されたポプラの葉を開発した方法と,葉のカラーコピーを作り、これの食害部分をカッターで切り出し、葉面積計で測定する方法で計測し比較したところ、二つの方法の間に有意な違いはなかった。
- 本方法を用いることにより,ニジュウヤホシテントウがその寄主であるワルナスビの葉を摂食した場合(図2,A)の食害量が明らかになった(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本方法は、葉肉を食害するさまざまな昆虫の食害量の計測に利用できる。画像の入力方法等は目的や予算に応じて他の組み合わせも考えられる。
- 葉の周縁部を食害する昆虫については、葉の食害前の輪郭を復元できれば、その食害量を計測することも可能である。また立毛中の植物の葉の写真を直接撮影することにより,植物体を壊さず食害量を計測することも可能である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
害虫
カラー
なす
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