タイトル |
ガンマキンウワバの耐寒性に及ぼす予冷の効果 |
担当機関 |
北海道農業試験場 |
研究期間 |
1992~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
冬期野外積雪下を想定した0℃湿度100%という条件下での生存期間を比較すると、予冷によって、北海道で越冬が確認されているガンマキンウワバ幼虫は、越冬が確認されていないタマナギンウワバよりも、生存期間が飛躍的に延びる。
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背景・ねらい |
野菜や牧草の害虫として知られるガンマキンウワバは、1960年代初期に海外から北海道へ移動してきたと考えられている。本種は3、4齢幼虫で越冬することが知られているが、越冬に関係した生理・生態については不明な点が多い。そこで、耐寒性について、北海道での越冬が確認されていない同属の近縁種タマナギンウワバと比較しながら明らかにしようとする。
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成果の内容・特徴 |
20℃の温度条件下、餌に人工飼料を用いて飼育した個体(卵、1~5齢幼虫、蛹)を、予冷なしと予冷ありの2区に分け、冷蔵(0℃、湿度100%)の実験条件に移し、以後の生存率を調査した。- 予冷(10℃1日の後に5℃5日)のない場合、蛹を除いたどの齢期でも生存率はガンマキンウワバの方が高く、冷蔵30日でほぼ0%を示すのに対し、タマナギンウワバでは冷蔵20日でほぼ0%となる。
- 予冷のある場合、予冷のない場合と比較して、両種ともどの齢期でも生存率は高くなったが、その効果はガンマキンウワバで著しく、60日間の冷蔵に耐えられる個体が数%~70%近くまで存在した。しかし、タマナギンウワバでは60日間の冷蔵に耐えられる個体はほとんどなかった。
- 予冷が生存率に与える効果は、両種ともに3、4齢幼虫で特に大きい(図1)。これは、北海道の野外で観察されるガンマキンウワバ越冬個体の齢期と符合する。
- 予冷したガンマキンウワバ3齢幼虫では、120日間の実験条件に耐えられる個体が供試個体数の1.4%存在した。これらの生存個体は、20℃の条件に戻し新しい餌を与えたところすべて4齢幼虫となった。
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成果の活用面・留意点 |
昆虫の野外越冬を調べる際、その実験的証明の基礎として利用できる。
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図表1 |
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カテゴリ |
害虫
耐寒性
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