タイトル |
コーヒー粕と紅茶粕のブレンドによる堆肥の製造と施用効果 |
担当機関 |
長野県中信農業試験場 |
研究期間 |
1991~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
食品工場から出るコーヒー粕と紅茶粕をコーヒー粕が2/3以下になるように混合し4ヶ月堆積すると熟成堆肥が製造できる。これを野菜、畑作物、果樹に対して10a当たり1~2t施用することにより収量増などの効果が期待できる。
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背景・ねらい |
現在、国内の食品工場から排出されるコーヒー粕、紅茶粕はそれぞれ年間10万t程度と推定されているが、有効な利用方法もなく廃棄されている。そこで、これらの未利用有機質資材を活用するために、堆肥化の条件を明らかにし、実際に製造した堆肥を作物に施用してその効果を確認する。
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成果の内容・特徴 |
- コーヒー粕はC/N比が比較的高く、紅茶粕は水分が多いため単体では堆肥になりにくいが、両者を組み合わせることでC/N比が低下し、通気性が良好となるので堆肥化が促進される。その際、コーヒー粕の割合を重量割合にして2/3以下にし、最初の2ヶ月間に4~6回の切り返しを行い4ヶ月間堆積すると表1に示すように分解が進み良質堆肥になる。混合比率は図1の幼植物試験の結果から判定した。また、排出直後の原材料には微生物がいないため、微生物資材を添加すると、発酵が促進され堆積期間が2ヶ月に短縮できる。(但し、コーヒー粕の割合を1/3以下にする)
- 圃場試験においてレタス、ハクサイ、リンゴ、スィートコーン、ピーマンおよび加工トマトを対象に施用効果を検討したところ、無堆肥区に対して増収、同等、やや減収、新梢の生育促進などの結果を得た(表2に結果の一部を示す)。これらの試験においては有機物施用で特に問題となる生育阻害物質による害作用は観察されなかった。また、畜糞を含む堆肥と異なり堆肥化の過程での悪臭の発生は殆どない。
- 堆肥施用による土壌物理性の改良効果を調べた結果、土壌の固相率の低下と気相率の上昇がみられ、孔隙の増加が認められた。また易効性水分は1、2t区で高く4t区で低かった(表3)。従って土壌が乾燥する場合は、4t以上の大量施用で作物の吸水が阻害される恐れがあり、施用量としては1~2t/10aが適当である。
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成果の活用面・留意点 |
- 本堆肥を育苗培土へ混合する場合、培土中のコーヒー粕の量が相対的に増え、作物に生育障害が起きる可能性があるので、コーヒー粕の混合比が1/3以下の堆肥を使用する。
- 紅茶粕の代替としてウーロン茶粕は同等の効果があるが、緑茶粕は堆肥化中に悪臭や蛆が発生し、堆肥も生育阻害作用があるので不適当である。
- 未熟コーヒー粕堆肥は生育障害を起こすので用いない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
土づくり
肥料
育苗
加工
乾燥
茶
トマト
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ピーマン
りんご
レタス
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