タイトル |
電気探査比抵抗法による土壌中の礫層分布の把握 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1992~1994 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
精密土壌調査や圃場管理のために必要な土壌特性を,面的に精度良く把握する手法として,電気探査比抵抗法は土層中の礫層上端の深さを把握するのに簡便でかつ有効である。
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背景・ねらい |
面的な土壌特性の把握は精度の高い土壌図の作成や作物の栽培管理のために重要であるが,その把握手法は十分に確立していない。物理探査の比抵抗法は,地中の比抵抗値に着目して地下構造を把握しようとする方法で,これまで深部の鉱床や地下水探査に適用されてきたが,作業性やデータの信頼性に問題があった。しかし,近年測定器のデジタル化,軽量化がはかられ,操作性や測定データの精度が向上し,効率的な探査が可能となった。そこで,比抵抗法による簡便な面的土壌特性の把握手法の開発を目的に,土壌中礫層分布調査への適用を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 電気探査比抵抗法(ポール・ポール電極配置法)は,固定電極と対になる木製フレームに装着した移動電極を走査して調査地点の土層の見掛比抵抗値を測定する方法で,面的特性の把握に適している(図1)。用いたシステムは,1回に30m×30mの区域を測定でき,直流電源と一体化したデジタル比抵抗測定器をセットしたフレームは重量2.9kgと軽量で,1回の充電で14時間の連続測定が可能である。
- 見掛比抵抗値は礫層上端の深さが深くなるほど低くなる傾向があった。このことは,礫層に比べ比抵抗値の小さな表層の厚さが厚くなるほど測定地点における見掛比抵抗値が低下することを示している。両者の間には高い相関関係があり,測定地点の見掛比抵抗値から礫層の上端深さを推定することが可能であった(図2)。
- 見掛比抵抗値から推定した礫層上端深さとボーリング調査から得られた礫層上端深さの圃場内における分布傾向は一致していた(図3)。
- この方法では,20m×40m区画の800地点の探査に二人で2時間しか必要とせず,効率的な調査が可能であった。
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成果の活用面・留意点 |
- 移動電極の間隔は測定深度に適した長さにする必要があり,1m深以内の土壌特性を把握するには0.5m程度が適当である。
- 見掛比抵抗値は土壌水分やその他の土壌特性および電極の接地抵抗などの影響を受けるので,測定時期や地域ごとに見掛比抵抗値と実測した礫層上端深さの間の回帰直線を求めておく必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
栽培技術
圃場管理
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