タイトル |
ジャガイモそうか病菌に対するグラブリジンの抗菌活性 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1995~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
カンゾウは,ジャガイモそうか病菌に対する抗菌成分を葉と根に含有しており,その主要な成分はグラブリジン(glabridin,3-(2', 4'-dihydroxyphenyl)-8-dimethyl-pyrano [8,7-e ] chroman)であった。
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背景・ねらい |
ジャガイモそうか病は,放線菌ストレプトマイセス・スキャビーズ(Streptomyces scabies)により引き起こされる。防除法としては,土壌pHを低くした栽培や土壌消毒,種いも消毒が行われているが有効な防除法は確立されていない。そこで,低投入持続型の農業の観点から,農薬を減らしつつ土壌病害を防ぐ技術開発を目的として,ジャガイモそうか病菌の増殖を抑制する抗菌物質を含むもしくは分泌する植物を検索しその抗菌成分を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- ジャガイモそうか病菌の生育を阻害する植物としてマメ科の薬用植物カンゾウ(甘草,Glycyrrhiza glabra L. )を見出した。カンゾウの抗菌成分は,葉および根に存在した(表1)。
- カンゾウの抗菌成分を根より抽出し,主要な成分は,既知物質のグラブリジン(glabridin,3-(2', 4'-dihydroxyphenyl)-8-dimethyl-pyrano [8,7-e ] chroman, 乾物当たり0.12%含有)であることを明らかにした(図1)。
- グラブリジンの最小発育阻止濃度(MIC)は,25μg/mlであり,抗菌活性は,ストレプトマイシンの1/16(MICは1.56μg/ml)であった(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- ジャガイモ栽培においてジャガイモそうか病の発病の防除および被害の軽減を目的とした天然物の利用技術の開発に役立つ。
- カンゾウのすき込み,間作,混作,カンゾウを加えた作付体系の開発等の環境保全型農法への応用の可能性が考えられる。
- カンゾウ成分のグラブリジンの土壌中での安定性は不明である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
病害虫
土壌消毒
農薬
ばれいしょ
防除
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