タイトル |
林地黒ボク土の硫酸イオン含量と同イオン吸着に基づく酸緩衝能への影響 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1995~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
アロフェン質で硫酸イオン吸着能が高い黒ボク土では、施肥来歴のない林地土壌においても既に多量の硫酸イオンが蓄積されており、大気からの硫酸イオン負荷に対する土壌酸緩衝能の大小は吸着能の大小とは必ずしも一致しなかった。
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背景・ねらい |
近年、酸性降下物に対する緩衝作用や農耕地での硝酸イオン移動への影響など、環境保全の面から黒ボク土のもつ大きな硫酸イオン吸着能が注目されている。硫酸イオン吸着は固相・液相間の分配平衡に従うので、負荷された硫酸イオンの挙動を考えるには、負荷濃度およびpHとともに吸着能ならびに既に蓄積されている硫酸イオン含量を考慮する必要がある。本研究では施肥来歴のない林地黒ボク土の硫酸イオン含量を調べ、希薄濃度による酸負荷に対する土壌緩衝能への影響を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 12ペドン74層位の林地黒ボク土の硫酸イオン含量は土壌間の差異が非常に大きく0.4mmol kg-1から46.5 mmol kg-1までの範囲にあったが、アロフェンのアルミニウム含量( Alo- Alp)と正相関のあることが認められた(図1)。
- 林地黒ボク土の硫酸イオン吸着能は土壌による差が大きいが、いずれも液相の硫酸イオン濃度が0.1 mmol L-1を超えると吸着量の増加は緩やかになった(図2)。また、自然状態での硫酸イオン含量は0.1 mmol L-1硫酸イオン溶液に対する平衡吸着量とほぼ一致していた(図3)。すなわち、硫酸イオン吸着能が高い土壌には既に多量の硫酸イオンが蓄積されている傾向があった。
- 硫酸イオンによる酸負荷に対する土壌の緩衝能を評価するために、土壌水中の硫酸イオン濃度が0.1 mmol L-1上昇する間に吸着できる硫酸イオン量を求めた。その結果、吸着量の増分すなわち緩衝能は、土壌の硫酸イオン吸着能自体の大きさ(全硫酸イオン吸着量で表される)とは対応しないことがわかった(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
本研究の成果は、林地黒ボク土の酸緩衝能の評価のために活用できる。また黒ボク土以外の土壌についても、本研究の方法により、硫酸イオン吸着による酸緩衝能を評価することができる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
施肥
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