成果の内容・特徴 |
- 小型の7バンド(560, 660, 830, 1100, 1200, 1650, 2200nm;視野角15°)分光センサを用い,密度と施肥量を変化させた水稲群落(日本晴)の生長初期から成熟期までの全生長過程にわたって,毎週約2回の頻度で群落の反射スペクトルを追跡的に測定した.測定は水稲群落の上方約2mから直下方向に行った.反射輝度を標準白板(BaSO4)で校正することで,反射係数R***(***は波長nm)が求められる.
- 反射係数および各種指標のうち,R1650-R1100が地上部バイオマスおよび葉面積指数と(r=-0.91),R1100/R560が葉身窒素量と(r=0.93),R1100/R830が葉身窒素含有率と(r=-0.81),R1100-R830は水分含有率と(r=-0.77),それぞれ相関が高い.
- 診断予測に重要度の高い出穂期までの期間について,地上部バイオマスは660, 1100, 1650nmの3波長を,葉面積指数は660, 830, 1100, 1650nmの4波長を,葉身窒素量については560, 830, 1650, 2200nmの4波長を用いることによりぞれぞれ最も寄与率(自由度調整済)の高い重回帰式が得られた.回帰分析に用いたのとは別のデータを用いて予測値と実測値を比較したところ,これらの回帰モデルによって生育量情報を精度良く推定できた(図1,図2,図3).
- 単位土地面積当たりの葉身窒素量と,群落の光吸収能と比例関係にあるSAVI(1.5[R830-R660]/[R830+R660+0.5])との間に,全生育期間を通じて密接な関係があることがわかった.土地面積当りの葉身窒素総量は群落の光合成有効放射吸収能を強く規定しており,光合成容量や倒伏予測の指標,生長モデルへの入力として有用と考えられる(図4).
|