タイトル |
価値関数を用いた紙マルチの多属性評価法 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1995~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
多属性価値関数を用いることによって、夏ダイコン栽培への紙マルチの導入可能性が評価できる手法を開発した。事前評価のような不確定な状況においても、生産者にとっての評価を反映した紙マルチの相対的優位性が検討できる。
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背景・ねらい |
野菜生産の省力化等を狙った紙マルチ栽培が近年注目されている。こうした新たな農業技術の優位性を、事前評価のような状況においても適切に検討するために、生産コスト等の農業経営に関わるデータと圃場試験から得られる技術的データを有効に組み合わせて評価する手法が望まれている。
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成果の内容・特徴 |
- 夏ダイコン栽培への紙マルチの導入可能性が評価できる手法を開発した。その手法は、属性(評価尺度)の価値の測定、属性ごとのウェイトの測定、各属性のウェイトを加味した総価値の計算、感度分析という手順からなる(図1)。
- 評価のために取り上げた属性は、価格、作業時間、生産物である。価格は10a当たりに必要なマルチの価格(円)、作業時間は現地で計測した片づけに要する15a当たり分、収量は出荷不能率を乗じた10本当たりkg、品質は出荷不能分を除いたす入りの程度を表す0(無)から5(激甚)までの6段階の指標の平均値である。
- 圃場試験結果等による数値を用いた場合、両マルチの総価値はほぼ同一である。しかし、今後の改良によって紙マルチの属性は改善される。その場合の効果を予測するため感度分析が重要である。評価尺度の感度分析によって、紙マルチの価格が低下すれば、または、収量が増大すれば相対的優位性がどの程度改善されるかがわかる(図2の実線)。また、ウェイトの感度分析によって、ウェイトに伴なう優位性の変化がわかる(図3)。得られたウェイト(P)が実線(両マルチの総価値に差がない場合)の左上にあれば紙マルチが優位であることを示す。ここで、収量に差がないとすると紙マルチが優位となる領域は拡大する(破線)。生育の若干の遅れは収穫時期で対応できること等を考慮すれば、紙マルチが優位となる可能性は高いと判断される。
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成果の活用面・留意点 |
マルチの評価以外に農業技術の評価手法として広く利用可能であるが、農家の選好を適切に反映するように価値関数、ウェイトを測定する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
コスト
出荷調整
省力化
だいこん
評価法
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