タイトル |
水田畦畔管理省力化のための土壌モルタル被覆 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1995~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1995 |
要約 |
現場の土に普通セメントと土壌凝固剤を混ぜて水を加えて練った土壌モルタルを作り、あぜ塗機などを利用して水田畦畔を被覆することにより、漏水防止と雑草発生を抑制する畦畔を簡易に造成できる。
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背景・ねらい |
中山間地の水田は畦畔の占める面積割合が高く、漏水防止のためのあぜ塗り作業や草刈りなどの管理労力はかなり大きく、とくに、草刈り作業は高齢者にとって重労働であり、安全面からも問題がある。コンクリートによる畦畔造成は、草刈りやあぜ塗りをしなくてすむが、造成経費がかさむうえ、ロータリ爪やコンバインを傷つけやすい。このため管理労力を大幅に節減する畦畔を簡易に造成することが望まれている。
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成果の内容・特徴 |
- 現場の土を骨剤として、普通セメントと土壌凝固剤(S剤:セルロース系高分子化合物)を混ぜて水と練った「土壌モルタル」を畦畔表面に被覆、あるいは、畦畔際の土に普通セメント、土壌凝固剤を混和して、水で練りあぜ塗機で成型することにより、漏水を防ぎ、雑草発生を抑制する強固な畦畔を造成できる。
- モルタルミキサを用いて土壌モルタルを作り、畦畔の上面および法面の3面に薄く敷く方法は、土に対して重量比で普通セメントを12%、土壌凝固剤を0.3%の配合割合で、施工厚さを3cm以上とすれば、ひび割れもほとんどない(表1)。10a区画圃場の畦畔面積154㎡の被覆に必要な資材は、土10t、普通セメント1,260kg(22,050円)、土壌凝固剤31.5kg(25,200円)であり、3人組作業で延べ40時間で施工できる(表2)。
- あぜ塗機を利用する方法は、畦畔際40cm幅の土表面に普通セメントと土壌凝固剤を散布して、管理機で土と混合し、散水後再撹拌して、あぜ塗機で成型仕上げすれば耐久性のあるあぜが造成できる(表3)。土に対して普通セメント12%(28.75kg/㎡)、土壌凝固剤0.3%(0.72kg/㎡)の配合が良く、水田10a当たり(畦畔面積56㎡)の必要資材は普通セメント1,600kg(28,000円)、土壌凝固剤40kg(32,000円)である。畦畔の内面と上面に厚さ約7cmの硬化層ができ、強固な路盤が得られる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
畦畔の上面および圃場内面の強化にはあぜ塗機利用法が能率的であり、外側法面の雑草抑制のためには土壌モルタル被覆を行う。雑草やワラなどの粗大有機物は予め除去する。火山灰土など粒度の小さい土に対しては普通セメントの配合量を15%へ増やす。施工は土壌水分が低い時に行う。損傷箇所は土壌モルタルで容易に補修でき、保守すれば10年前後は維持できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
畦畔管理
雑草
省力化
水田
中山間地域
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