湛水散播水稲における耐ころび型倒伏性の影響要因とその評価

タイトル 湛水散播水稲における耐ころび型倒伏性の影響要因とその評価
担当機関 東北農試
研究期間 1996~1996
研究担当者
発行年度 1996
要約 湛水散播水稲のころび型倒伏に影響を及ぼす播種深度、穂揃い期株生育量、土壌の表面硬度と株支持力との関係を、水稲品種「どまんなか」を用いて解析し、耐ころび型倒伏性の診断技術の開発に有効なモデル式を作成した。
背景・ねらい 水稲の湛水散播栽培においては、ころび型倒伏の防止が安定生産を図る上で重要な課題である。直播栽培における耐倒伏性の診断技術の確立や、品種の選定に役立てる目的で、播種深度、穂揃い期の一株生育量および土壌の表面硬度と株支持力(地下部が地上部を支える力。本成果情報では、倒伏試験器を地表面から一定の高さで株に対して直角方向に押しつけ、得られた抵抗値と測定高の高さとの積から得られる押し倒し抵抗で評価)との量的関係を解析し(水稲品種「どまんなか」対象)、これら3要因の組み合わせから株支持力を予測できるモデル式を考案した。
成果の内容・特徴
  1. 穂揃い期の押し倒し抵抗(P)は、同期の株乾物重(W:g/株)と節根の発根する株基部の最上部で測定された株直径(D:cm)の積値(W×D)と高い相関関係を示し、後者が大きくなるとこれに比例して高い値となる。この場合、その直線回帰式の回帰係数(以下抵抗係数kとする)は、播種深度や測定時の土壌の表面硬度に応じて変動する(図1、式1)。
  2. 土壌の表面硬度(S:kg/cm2)の増大に伴って抵抗係数kは顕著に高まるが、Sが約1.2kg/cm2以上になるとkの向上程度は小さくなり、飽和型の曲線で近似される関係を示す(図2、式2>:ただし播種深度1.89mm)。
  3. 播種深度(L:mm)と抵抗係数kとの関係を各土壌硬度別にみると、いずれの場合も播種深度にほぼ比例してkも高くなる傾向が認められる。この場合、その切片は式2に、傾きは直線回帰の関係に従っていずれも土壌硬度により変動する(図2、式3)。
  4. 株乾物重(W)と株基部の発根部径(D)との間の関係式式4(図略)、および式3を式1に代入することにより式5が得られる。よって、押し倒し抵抗(P)は、穂揃期株乾物重(W)、土壌の表面硬度(S)、播種深度(L)から推定できることとなる(図3)。
    D= 1.11 × (W+13.7)^0.5-3.24  式4
    P={105.13 ×[1-exp(-S/1.11)]+(0.42S+0.99)× (L-1.89)}
    ×[1.11 × (W+13.79)^0.5-3.24]× W  式5
成果の活用面・留意点
  1. 各播種深度、株密度、土壌の表面硬度の組み合わせごとに、ころび型倒伏を防止するのに必要な限界稈長がこのモデル式から推定され得る(図4)。
  2. 土壌の表面硬度は面積2cm2の平面型土壌硬度計を用いた測定値である。
  3. 各パラメータは土壌の種類や品種によって変動するため、それぞれについて設定する必要がある。
図表1 224023-1.gif
図表2 224023-2.gif
図表3 224023-3.gif
図表4 224023-4.gif
カテゴリ 直播栽培 診断技術 水稲 播種 品種

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