タイトル |
種子伝染性病原細菌の高感度検出法 |
担当機関 |
農業環境技術研究所 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
イネの種子伝染性病原細菌を対象に16S-23SリボソームRNA遺伝子間に存在するスペーサー領域の配列を調査し、各菌種に特異的な配列に基づいてプライマーを設計し、PCRによって標的細菌の有無を高感度で検出する技術を開発した。
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背景・ねらい |
従来の検出法では検出されない程度の汚染もみでも発病する例が観察されたので、さらなる高感度検出法の開発が必要となった。また、最近イネ苗立枯細菌病のまん延が明らかになり、生態研究に利用できる細菌病の迅速な識別法が必要となった。そこで、16S-23SリボソームRNA遺伝子間に存在するスペーサー領域の配列(約500bpのDNA)を決定して、種内おび種間における変異を調査し、菌種特異的な配列を決定した。その配列に基づいてプライマーを設計し、PCRによる検出法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 地理的分離源の異なるイネ苗立枯細菌病菌(Pseudomonas plantarii)73株について、スペーサー領域の配列を比較したところ、その配列には菌種特異的な一定の部分と置換、欠失あるいは挿入のある部分とがあった。
- イネもみ枯細菌病菌(Pseudomonas glumae)については、地理的に分離源が異なっていてもスペーサー領域は配列が完全に一致し、かつ、本菌種に特異的な配列が見いだされた。
- 菌種に特異的な配列の一部を選んでプライマーを設計し、そのプライマーを用いてPCRを行ったところ、標的細菌試料から特異的なバンドが得られた(図1)。
- 本法によって、人工汚染もみ、自然発病もみ、自然発病苗から両菌の検出を行ったところ、従来の培養法では検出されない濃度に希釈した試料からでも標的細菌が検出された(図2、表1)。したがって、PCRによって標的細菌の有無を高感度で検出する技術が開発された。
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成果の活用面・留意点 |
- 検査試料によっては、PCRを阻害する植物や土壌由来の物質を除去する工夫(スキムミルク等の添加)が必要な場合がある。
- プライマーの供給は可能である。
- ここで開発した技術は、カンキツかいよう病、ジャガイモそうか病等でも利用できることを確認しており、他の多くの植物病原細菌にも適用できる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
ばれいしょ
もみ枯細菌病
その他のかんきつ
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