タイトル | フェロモントラップによるコナガ雄成虫の密度推定 |
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担当機関 | 農業環境技術研究所 |
研究期間 | 1996~1996 |
研究担当者 | |
発行年度 | 1996 |
要約 | 性フェロモントラップに誘引されたコナガ雄成虫数とマーキング法によって推定された成虫密度との間には正の相関が認められ,トラップあたり誘引数の約15倍の雄成虫が生息しているものと推定された。野生虫の個体数変動が小さいとき,性フェロモン剤はコナガ発生量のモニタートラップとして有効である。 |
背景・ねらい | 性フェロモントラップが害虫の発生予察に利用されるようになって20年近くになるが,発生量推定の手段としての現場での信頼度はいまひとつである。フェロモントラップには多くの雄成虫が誘引されるが,この誘引数と実際の生息成虫数との間にどのような関係があるかは十分に明らかにされていない。そこで,マーキング法によってアブラナ科野菜畑のコナガの密度を推定し,フェロモントラップに誘引された野生成虫数との関係を調べた。 |
成果の内容・特徴 | (1)夏~秋につくば市のキャベツ,ブロッコリー畑で計9回,蛍光色素でマークしたコナガ雄成虫を放し,フェロモントラップで再捕獲した。得られた再捕獲データから,Yamamuraら(1992)の方法によって,雄成虫の個体群密度を推定した。 (2)フェロモントラップ誘引数(実測値)と個体群密度(推定値)との間には,有意な正の相関があり(r=0.77),1アール換算でトラップあたり誘引数の約15倍の雄成虫が生息しているものと推定された(図1)。 (3)フェロモントラップ誘引数の場所間・日間のバラツキを補正するため,畑内に偏りなく複数個のトラップを配置し(1ヘクタールの畑で5個程度),トラップ誘引数も1日のみの値ではなく,数日間の平均値を用いる(図2)(Shirai and Nakamura 1995)。これによって比較的精度よくフェロモントラップ誘引数からコナガ雄成虫の密度を推定できる。 |
成果の活用面・留意点 | (1)トラップ誘引数は少なくとも1週間程度,毎日調査し,個体数の日変動をチェックする。 この期間の個体数変動がひじょうに大きいときには,図1の関係は期待できない。 (2)「フェロモントラップ誘引数と生息成虫数の関係」をより精度の高いものにするため,マーキング法による実験データの蓄積が必要。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | あぶらな 害虫 キャベツ 性フェロモン フェロモン ブロッコリー |