タイトル |
DVRを用いるキャベツの収穫期予測 |
担当機関 |
中国農業試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1996 |
要約 |
キャベツの生育期間を外葉の展開と葉球の肥大充実の2生育相に分け、各生育相ごとにDVRを計算して生育予測を行うことで、生育前・後期の生育適温の違いを反映した精度の高い収穫期予測ができる。
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背景・ねらい |
冬採りキャベツは、播種時期や気温経過が少し異なるだけで収穫時期が大きく異なる(図1)。このことは安定供給を困難にし、価格の変動をまねいてきたため、収穫期の的確な予測が強く求められている。従来の積算気温を用いた方法では収穫期を的確に予測できないので、圃場での作期移動試験の結果をもとに、気温に対するDVR(Developmental rate略、それぞれの日平均気温における作物の一日の生育の進みかた)を用いるキャベツの収穫期予測法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 定植から収穫期までを1つの生育相としてDVRを求めるより、主に外葉が展開する生育前期と主に葉球が肥大する後期の2生育相に分けて、それぞれの生育相ごとにDVRを求めるほうが、収穫期の推定誤差は小さい(表1)。
- 生育相の区切りは、結球開始期(内側の葉が結球体勢をとり始め、子供の握りこぶし大の葉球が形成される時期)より結球中期(結球部の縦/横比が1を下回り葉球が扁平になり始める時期)のほうが推定誤差は小さい(表1、表2)。結球中期は外葉のLAIが最大となる時期にほぼ相当する。
- 結球中期で区切った場合、生育前期と後期での適温の違いがDVRによって定量的に示される。日平均気温が10℃前後になると、生育前期には生育が遅延するが、後期では葉球の肥大はほとんど抑制されずに進む(図2)。冬採りキャベツの収穫期が大きく変動するのは、気温の年次変動や作期の少しのズレによって気温が10℃前後に低下する時期が生育前期になったり後期になったりするためである。
- 中生品種より早生品種がDVRが大きく、秋まき極早生品種は早生品種よりもさらにDVRが大きい。このように、早晩性の異なる品種間の温度反応の違いが明確かつ定量的に示される(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 抽台による結球異常が問題となる作型に対応するためには、さらに検討が必要である。
- 供給の安定化を実現するためには、収穫期の予測だけでなく、適切な収穫期調節技術を選択あるいは開発して用いる必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
キャベツ
栽培技術
生育予測
播種
品種
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