タイトル |
かんしょ「関東116号」の低糊化温度澱粉 |
担当機関 |
農業研究センター |
研究期間 |
2000~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
2000 |
要約 |
かんしょ「関東116号」の塊根に含まれる澱粉は、その糊化温度が50℃付近で、通常のかんしょ澱粉よりも20℃程度低い。この澱粉は、構造的には、短鎖長のアミロペクチン側鎖が多いのが特徴である。
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背景・ねらい |
かんしょ澱粉は、その特性に関する変異に比較的乏しく、かんしょ澱粉の用途拡大や新たな加工用途開発の隘路となっている。育種によるかんしょ澱粉の質的改変を目的とした研究の過程で、特異な澱粉粒を含有する「関東116号」を育成したので、その澱粉特性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 「関東116号」の澱粉の糊化温度は通常のかんしょ澱粉のそれより20℃程度低く、糊化エンタルピー(乾物澱粉1g当たりの吸熱量)も低い(表1)。
- ラピッドビスコアナライザーによる「関東116号」の澱粉の粘度上昇温度は約50℃で、通常のかんしょ澱粉のそれより20℃程度低い。また、「関東116号」の澱粉ゲルは、最高粘度とブレークダウンも低いが、セットバックは通常のかんしょ澱粉ゲルと同程度である(図1)。
- 加熱調理に要する時間を、糖度の上昇を指標に見ると、「関東116号」の加熱調理に要する時間は、「ベニアズマ」より明らかに短い(図2)。
- アミロペクチンの側鎖長分布をみると、「関東116号」の澱粉は通常のかんしょ澱粉に比べて、グルコースの重合度が6-10の短い側鎖が多く、重合度が11-36の側鎖が少ない(図3)。
- 澱粉含量、アミロース含量、蒸しいもの食味、および塊根の肥大性は一般的な品種と同程度であるが、澱粉粒は亀裂の入った異常な形態を示す。
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成果の活用面・留意点 |
- かんしょの新たな加工用途開発が期待できる。
- 本特性は、全く新規の特性であるため、具体的用途については今後の検討を要する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
育種
加工
かんしょ
品種
良食味
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